『攻殻機動隊』は、電脳化や義体化が当たり前となった近未来を舞台に、公安9課の草薙素子たちが高度化した犯罪やテロに立ち向かうSF作品です。サイバーパンクらしい緻密な世界観とアクションを楽しめる一方で、AIやネットワークが発達した社会における「人間とは何か」というテーマまで描かれています。
科学技術によって人間の身体や意識そのものを拡張できるようになったとき、人と機械を分けるものは何なのか。そんな問いを投げかけながら、政治、犯罪、情報社会などさまざまな題材を扱っていくところが『攻殻機動隊』ならではの魅力です。
『攻殻機動隊』の魅力とは?
『攻殻機動隊』の大きな魅力は、未来のテクノロジーを単なる便利な道具として描くのではなく、それによって社会や人間そのものがどう変化するのかまで考え抜かれているところです。
脳をネットワークへ直接接続する電脳化や、身体の一部あるいは大部分を人工物へ置き換える義体化が普及した世界では、現実と情報空間の境界も曖昧になっています。身体を交換でき、記憶さえ情報として扱われるようになれば、「自分が自分であること」を何によって証明するのかという問題も生まれます。
一方で、物語には公安9課による捜査や銃撃戦、電脳戦などエンターテインメントとして楽しめる要素も豊富。難しいSF設定を扱いながら、犯罪捜査ものやアクション作品としても読める懐の深さがあります。
ここからは、そんな『攻殻機動隊』のような近未来SFやサイバーパンク、人間とテクノロジーの関係を描いた漫画が好きな人におすすめしたい5作品を紹介します。
おすすめの作品を詳しく紹介
1.『銃夢』
機械の身体を持つ少女・ガリィを主人公にしたSFアクション漫画です。記憶を失った状態で発見されたガリィは、自分が何者なのか分からないまま、過酷な世界で戦いながら自身の過去と向き合っていきます。
サイボーグが当たり前に存在する未来社会や、人間の身体と機械の境界を扱っているところは『攻殻機動隊』と非常に相性のいいポイントです。身体の大部分が人工物になったとしても、その人物を「人間」にしているものは何なのかというテーマも物語の根底にあります。
『攻殻機動隊』の義体という設定や、哲学的なテーマを含んだSFが好きな人なら特におすすめです。迫力のある戦闘も多いため、難しい設定だけでなくサイバーパンクらしいアクションもしっかり楽しめます。
2.『BLAME!』
果てしなく巨大化した構造物を舞台に、主人公・霧亥が「ネット端末遺伝子」を持つ人間を探して旅を続けるSF漫画です。巨大建造物、機械生命、ネットワークなどが入り乱れる世界は圧倒的で、ページをめくるだけでも未知の未来へ迷い込んだような感覚があります。
セリフによる説明を必要最低限に抑え、背景や建造物、登場する機械などから世界の姿を読み取っていく独特の作品です。そのため最初は分からないことも多いものの、少しずつ世界の仕組みを理解していく楽しさがあります。
『攻殻機動隊』の電脳世界や、人間と機械の境界が曖昧になった未来社会に魅力を感じた人には特におすすめ。より無機質で孤独感の強いサイバーパンクを読みたい人に刺さる作品です。
3.『PLUTO』
手塚治虫先生の『鉄腕アトム』に登場するエピソード「地上最大のロボット」を原案として、浦沢直樹先生が新たな物語として描いたSFサスペンスです。世界最高水準のロボットたちが次々と破壊される事件を、ロボット刑事・ゲジヒトが追っていきます。
ロボットが感情を持ち、人間と同じ社会の中で生活する世界で、「感情とは何なのか」「人間とロボットに本当に違いはあるのか」という問題が描かれていきます。単純なロボットバトルではなく、事件の真相を追うミステリーとして読ませるところも魅力です。
『攻殻機動隊』でAIや人工知能、人間の意識について考えさせられる部分が好きだった人にはかなり相性のいい作品です。SFだけでなく犯罪捜査やサスペンスが好きな人にもおすすめできます。
4.『AKIRA』
大友克洋先生によるSF漫画の代表作のひとつ。巨大都市ネオ東京を舞台に、少年たちが国家機密の超能力研究を巡る巨大な事件へ巻き込まれていきます。
暴走族、軍、政治、超能力などさまざまな要素が絡み合い、ひとつの事件がやがて都市全体を揺るがすほどの規模へ発展していく物語は圧巻。緻密に描き込まれた都市の風景からも、未来社会の空気を感じられます。
電脳化や義体化を中心とする『攻殻機動隊』とはSFの方向性が異なりますが、近未来都市を舞台に、テクノロジーと人間、国家や社会の関係を描くという点では共通する部分があります。重厚な日本SF漫画をもっと読みたい人には外せない一作です。
5.『AIの遺電子』
人間と、人間とほぼ同じ姿をした人工知能「ヒューマノイド」が共存する未来を舞台にしたSF漫画です。ヒューマノイドを治療する医師・須堂を中心に、AIが社会の一員となった世界で起こるさまざまな問題が描かれます。
記憶をコピーすることができたら、そのコピーは本人なのか。人工知能が人間と同じように悩み、愛情を持つようになったら、人間との違いはどこにあるのか。現在のAI技術にもつながるようなテーマを、一つひとつのエピソードを通して考えさせてくれる作品です。
派手なアクションは『攻殻機動隊』より控えめですが、人間と人工知能の境界というテーマとの相性は抜群。『攻殻機動隊』の哲学的な部分や、テクノロジーが人間社会へ与える影響を描いたエピソードが好きな人におすすめです。
まとめ
『攻殻機動隊』が好きなら、近未来という舞台だけでなく、人間と機械の境界やAI、ネットワーク、テクノロジーによって変化する社会まで踏み込んだSF漫画がおすすめです。
義体やサイボーグを題材にした作品なら『銃夢』、圧倒的な未来世界へ浸りたいなら『BLAME!』。AIと人間の違いを考えたいなら『PLUTO』や『AIの遺電子』が特に相性のいい作品です。
そして、日本の近未来SFをさらに掘り下げたいなら『AKIRA』も外せません。同じSFでもそれぞれ違った未来を描いているので、『攻殻機動隊』をきっかけにサイバーパンクやSF漫画に興味を持った人は、気になる作品からぜひ読んでみてください。

