『マグメル深海水族館』は、椙下聖海による、深海生物とそこで働く人々を描いた漫画です。舞台は東京湾の水深200メートルにある「マグメル深海水族館」。普段は簡単に見ることのできない深海の生き物たちを身近に観察できる、世界で唯一の水族館として描かれています。
主人公の天城航太郎は、深海生物が大好きながら少し引っ込み思案な青年です。清掃員のアルバイトとしてマグメルで働き始めた航太郎は、館長の大瀬崎湊人との出会いをきっかけに飼育の仕事にも関わるようになります。深海生物への強い「好き」という気持ちを持ちながら、命を扱う仕事の難しさを知り、人との関わりの中で少しずつ成長していきます。
『マグメル深海水族館』の魅力とは?
大きな魅力は、何といっても神秘的な深海生物の世界です。チョウチンアンコウやメンダコ、リュウグウノツカイ、オンデンザメなど、普段の生活ではほとんど出会えない生き物たちが登場します。奇妙な姿や驚くような生態を知るたびに、「深海にはまだこんな世界があるのか」と好奇心を刺激されます。
しかし、本作は珍しい生き物を紹介するだけの漫画ではありません。マグメルで働く人々は、深海生物の命を守り、その生命を未来へつないでいくためにさまざまな仕事をしています。エサを食べてくれない生き物への対応や野生生物の救出など、命を預かる仕事だからこその難しさも描かれます。
そして物語の中では、避けることのできない「生と死」にも向き合います。大好きな生き物だからこそ、失ったときの悲しみも大きい。それでも生命と関わる仕事を続けていく人々の姿が描かれているため、穏やかな雰囲気の中にも心に残るエピソードがたくさんあります。
深海生物の生き方と、登場人物たち自身の人生が重ねられているところも印象的です。暗く厳しい環境の中でも、それぞれの方法で生きている深海の生き物たち。その姿を通して、自分らしく生きることや、好きなものを大切にすることが描かれています。
ここからは、『マグメル深海水族館』のように、生き物について知る面白さや、生き物と向き合う仕事、好きなものを通して成長していく人々の姿を楽しめる漫画を中心に5作品紹介します。
おすすめの作品を詳しく紹介
1.『へんなものみっけ!』
博物館を舞台に、そこで働く学芸員たちの仕事を描いたお仕事漫画です。博物館というと展示室を思い浮かべますが、その裏側では標本の収集や保存、調査、研究など、来館者からは見えないさまざまな仕事が行われています。
動物や植物など身近な自然にも、知らなかった世界がたくさん隠されています。それを専門家たちの視点から見せてくれるため、読み進めるほど生き物や自然への興味が広がっていくのが魅力です。
『マグメル深海水族館』で、水族館の裏側や専門家たちの仕事、生き物について新しいことを知るワクワク感が好きだった人には特におすすめです。「好きなものを仕事にしている人たち」の情熱を楽しめるところもよく似ています。
2.『動物のお医者さん』
獣医学部へ進んだ西根公輝、通称ハムテルと、個性的な教授や学生、さまざまな動物たちの日常を描いた作品です。犬や猫だけでなく多種多様な動物が登場し、獣医学という専門的な世界をユーモアたっぷりに楽しめます。
動物を必要以上に人間的に描くのではなく、それぞれの生態や性格を持った「動物」として描いているのが面白いところです。思い通りにならない動物たちに人間側が振り回される場面も多く、生き物と関わることの面白さが自然に伝わってきます。
生き物について知る楽しさと、その生き物に関わる専門的な仕事を同時に味わえる点が『マグメル深海水族館』と共通しています。生き物と人間のちょっと不思議で温かな関係を描いた作品が好きならおすすめです。
3.『銀の匙 Silver Spoon』
進学校での競争に疲れた八軒勇吾が、北海道の大蝦夷農業高校へ進学し、農業や酪農と向き合いながら成長していく青春漫画です。それまで農業とはほとんど縁のなかった八軒が、個性的な仲間たちとの学校生活を通して、自分の進む道を探していきます。
学校生活は明るく賑やかですが、そこで扱われるのは「生き物を育てる」という仕事です。かわいい動物と触れ合うだけではなく、その命が食につながっていることや、農業を仕事として続ける厳しさにも向き合います。
生き物との出会いによって主人公の考え方や将来が少しずつ変化していくところは、『マグメル深海水族館』の航太郎の成長とも重なります。命について考えさせられるお仕事漫画や青春漫画が好きな人にぴったりです。

4.『天地創造デザイン部』
神様から依頼を受けた「デザイン部」が、地上に存在するさまざまな生き物を考案していくというユニークな生物コメディです。「こんな動物を作ってほしい」という依頼に対して、生物として成立するのかを試行錯誤しながらデザインしていきます。
なぜキリンの首は長いのか。なぜあの動物はあんな奇妙な姿をしているのか。普段は当たり前だと思っている特徴にも意味があり、生物の身体や生態の仕組みを漫画として楽しく知ることができます。
雰囲気は『マグメル深海水族館』よりもかなりコメディ寄りですが、「生き物ってこんなに面白いんだ」と感じさせてくれるところは共通しています。深海生物の奇妙な姿や驚きの生態を知るのが楽しかった人なら、こちらも夢中になりやすい作品です。
5.『海が走るエンドロール』
夫を亡くした65歳の茅野うみ子が、映像専攻の大学生・海との出会いをきっかけに、自分の中にあった映画への強い思いに気づき、映像制作の世界へ踏み出していく物語です。
生き物を扱った作品ではありませんが、「大好きなものがあるけれど、それを自分の人生へどうつなげればいいのか」というテーマが『マグメル深海水族館』とよく似ています。好きなものに向き合うことで、それまで止まっていた人生が少しずつ動き始めます。
航太郎が大好きな深海生物に関わる仕事を通して、自分の進む道を見つけていく姿が好きだった人には特におすすめです。年齢や環境に関係なく、「好き」という気持ちから人生を変えていく人間ドラマをじっくり楽しめます。

まとめ
『マグメル深海水族館』は、未知の世界を思わせる深海生物の魅力と、水族館で命に向き合う人々の人生を重ね合わせた作品です。美しく不思議な生き物を眺める楽しさだけではなく、生と死、仕事、夢、そして自分らしい生き方まで描かれているからこそ、心に残る物語になっています。
生き物を研究し伝える仕事の面白さなら『へんなものみっけ!』、動物と専門家たちの日常なら『動物のお医者さん』、命と仕事に向き合う青春なら『銀の匙 Silver Spoon』がおすすめです。生物の不思議をもっと楽しく知りたいなら『天地創造デザイン部』、好きなものを人生につなげていく人間ドラマなら『海が走るエンドロール』も相性があります。
深海のような知らない世界を覗くワクワク感や、生き物に夢中になる人々の姿、そして「好きなものと一緒に生きていく」物語に惹かれたなら、ぜひこの5作品も読んでみてください。
