『ムシバミヒメ』が好きな人におすすめの漫画5選【同居人・狂気・サイコホラー】

サスペンス

『ムシバミヒメ』は、『テセウスの船』の東元俊哉による同居人サイコホラーです。主人公は、小説家を目指している大学生・田中愛。新しい生活を始めるため、募集サイトで知り合った大学生・山口美羽とルームシェアをすることになります。

最初のうちは、美羽も少し変わっている程度の普通の同居人に見えます。しかし一緒に暮らす時間が長くなるにつれて、愛の持ち物を勝手に使ったり、愛と同じ場所にホクロを描いたりと、理解しがたい行動が増えていきます。

「ちょっと距離感がおかしいだけなのかもしれない」。そう思おうとする愛でしたが、不審に思って美羽の部屋へ入ったことで、彼女の日常は一気に崩れ始めます。最も安心できるはずの自宅が、最も危険な場所へ変わっていくサイコ・サスペンスです。

『ムシバミヒメ』の魅力とは?

『ムシバミヒメ』で特に怖いのは、恐怖がいきなり襲ってくるのではなく、ごく小さな違和感から始まるところです。自分の物を勝手に使われる。自分と同じ場所にホクロを描かれる。ひとつだけなら「変わった人」で済ませてしまいそうな行動が、少しずつ積み重なっていきます。

しかも相手は、毎日同じ家へ帰ってくる同居人です。嫌なことがあっても仕事や学校から帰れば美羽がいる。鍵を閉めても、すでに家の中に相手がいる。この逃げ場のなさが、本作のサイコホラーとしての怖さを大きくしています。

第2巻では、愛が自分の生活を美羽に監視されていたことを知り、ルームシェアを解消しようと決意します。しかし、美羽について調べようとするほど新しい異変が起こり、単なる「危険な同居人とのトラブル」では済まない状況へ発展していきます。

そして本作の面白さは、愛が美羽から逃げれば解決する物語ではないところです。事件が進むにつれて愛自身が犯罪の容疑者として追われる立場になり、頼れる人や居場所だけでなく、自分の名前まで奪われるような状況へ追い込まれていきます。

第3巻では、すべてを失った愛が大切な人物の死の真相を追い、「あの女」への復讐を決意。最初は被害者として逃げ続けていた主人公が、自ら真相を暴くため動き始めることで、物語はサイコホラーから逃亡サスペンス、復讐劇へと大きく広がります。

さらに重要になってくるのが、北海道の「鵡川」という土地です。愛、事件の被害者、真犯人、そして事件を追う刑事・馬場まで、複数の関係者が過去に同じ町と関わっていたことが判明します。

偶然だと思われていた人物たちが、なぜ同じ場所につながっているのか。現在起きている事件の原因はどこまで過去へさかのぼるのか。第4巻以降は、一人の異常な同居人だけでは説明できなかった謎が少しずつ一本につながっていきます。

第5巻では、指名手配犯となった愛と刑事・馬場が一時的に協力し、真犯人へ迫るため鵡川で調査を開始します。追う側と追われる側だった二人が同じ真実を追うことになり、愛や馬場自身の過去も事件へ深く関係していたことが見えてきます。

『テセウスの船』でも過去と現在をつなぐミステリーを描いた東元俊哉らしく、最初に感じた小さな違和感が後になって大きな謎へ結びつく構成も魅力です。「次に何をされるのか」という恐怖と、「なぜこんなことが起きているのか」という謎解きの両方でページをめくらされます。

『ムシバミヒメ』は2024年5月から新潮社の「くらげバンチ」で連載が始まり、2026年7月にはコミックス第5巻が発売。2026年8月にも最新話が配信されており、現在も物語は続いています。

ここからは、『ムシバミヒメ』のように、身近な人物が少しずつ日常を侵食していく恐怖、愛情と執着の境界、逃げても追ってくる人間の狂気、そして事件の裏側に隠された過去を楽しめる漫画を中心に5作品紹介します。

おすすめの作品を詳しく紹介

1.『泥濘の食卓』

伊奈子による恋愛サスペンスです。自己肯定感の低い捻木深愛は、自分を優しく肯定してくれたスーパーの店長・那須川夏生と不倫関係になります。しかし店長から別れを告げられたあとも、深愛の「好き」という気持ちは止まりません。

彼女は店長の妻が元気になれば再び付き合えるかもしれないと考え、妻や息子にまで接近。本人としては相手を不幸にしたいのではなく、本気で家族を助けようとしているところが恐ろしい作品です。

『ムシバミヒメ』で、最初は普通そうに見えた女性が少しずつ相手の生活へ入り込み、気づいたときには逃げられない状態になっているところが好きだった人には特におすすめです。悪意だけでは説明できない人間の執着がじわじわと日常を侵食していきます。

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2.『ハッピーシュガーライフ』

鍵空とみやきによる純愛サイコホラーです。女子高校生・松坂さとうは、幼い少女・神戸しおと出会ったことで、自分が初めて本物の愛を知ったと信じます。

さとうにとって、しおと二人で暮らす生活は何より大切な幸福です。その生活を脅かす人物が現れれば、嘘や脅迫だけでなく犯罪さえためらいません。それでも本人は、自分がしていることを「愛する人を守るため」と信じています。

『ムシバミヒメ』で、かわいらしく普通に見える女性の内側に異常な執着が隠れているギャップが好きだった人におすすめです。「好き」という感情がどこまで人間を狂わせるのかという怖さを味わえます。

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3.『ヒメアノ〜ル』

古谷実によるクライムサスペンスです。冴えない日常を送る岡田進を中心とした物語として始まりますが、やがて高校時代の同級生・森田正一という危険な男の存在によって空気が一変します。

普通の人間が暮らしている日常のすぐ隣に、まったく別の倫理で行動する人間が存在している。いつ、誰がその標的になるのか分からない緊張感が物語を覆います。

『ムシバミヒメ』で、恋人や友人、同居人といった身近な人間関係の中へ突然「理解できない人物」が入り込み、安全だった日常が壊れていく怖さに惹かれた人におすすめです。怪物ではなく人間だからこその恐怖があります。

4.『住みにごり』

たかたけしによる家族サスペンスです。仕事を辞めた末吉が久しぶりに実家へ戻ると、高齢の両親と、長年無職のまま家にいる兄・フミヤが暮らしていました。

大事件が起きているわけではないのに、家族の会話やフミヤの行動には少しずつ違和感が漂います。そして読み進めるほど、長年この家族の中に沈んでいた問題や過去が浮かび上がってきます。

『ムシバミヒメ』で、「家」という本来安心できる空間が次第に息苦しくなっていく感覚が好きだった人におすすめです。同居する人間から簡単には逃げられない閉塞感と、何気ない日常の中から生まれる恐怖がよく似ています。

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5.『スマイリー』

服部未定による新興宗教サスペンスです。娘を亡くし、妻とも離れ離れになったフリーライター・鴨目友司は、音信不通となった妻らしき女性が新興宗教「心笑会」のチラシに写っていることに気づきます。

妻を探すため教団へ近づく鴨目ですが、調べれば調べるほど、笑顔と幸福を掲げる心笑会の裏側にある異常な世界が見えてきます。さらに複数の人物の過去や事件がつながり、個人的な失踪事件から巨大な謎へ発展していきます。

『ムシバミヒメ』で、目の前の危険人物から始まった話が、過去の事件や複数の人物を巻き込む大きなサスペンスへ広がっていくところが好きだった人におすすめです。表面上の穏やかさと、その裏側にある狂気との落差も強烈です。

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まとめ

『ムシバミヒメ』は、東元俊哉による同居人サイコホラーです。小説家志望の大学生・田中愛が、募集サイトで知り合った山口美羽とルームシェアを始めたことで、自分の持ち物や生活、そして人生そのものを少しずつ侵食されていきます。

善意や恋愛が執着へ変わっていく恐怖なら『泥濘の食卓』、かわいらしい女性の内側に潜む狂気なら『ハッピーシュガーライフ』がおすすめです。日常へ入り込む理解不能な人間なら『ヒメアノ〜ル』、同じ家にいる人間から逃げられない閉塞感なら『住みにごり』、小さな事件から巨大な過去の謎へつながるサスペンスなら『スマイリー』も相性抜群です。

幽霊や怪物なら、その存在を最初から警戒できます。しかし『ムシバミヒメ』で愛の生活を壊していくのは、自分で選び、同じ家で暮らし始めた一人の人間です。「少し変な人かもしれない」という違和感を見過ごした先に何が待っているのか。美羽の狂気と、そのさらに奥に隠された事件の真相に引き込まれた人なら、今回紹介した5作品にも人間だからこそ怖いサスペンスが待っています。

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