『来世ではちゃんとします』は、いつまちゃん先生による、恋愛や性にまつわる悩みを抱えた大人たちの日常を描くラブコメディです。物語の中心となるのは、CG制作会社「スタジオデルタ」で働く社員たち。それぞれが仕事をこなしながら、人にはなかなか言えない恋愛事情や欲望を抱えて生きています。
かなり大胆な題材を扱っている一方で、単なる刺激的な恋愛漫画ではありません。誰かに愛されたい、好きな人に振り向いてほしい、自分に自信が持てない。それぞれの行動の奥には意外なほど身近な寂しさやコンプレックスがあり、笑って読んでいたはずなのにふと共感してしまうのが本作の面白さです。
『来世ではちゃんとします』の魅力とは?
本作の大きな魅力は、登場人物たちがとにかく恋愛に不器用なところです。大森桃江をはじめ、スタジオデルタの面々はそれぞれまったく違った恋愛観を持っています。しかし、誰もが自分なりの悩みを抱えていて、「こうすれば幸せになれる」と分かっていても、その通りには行動できません。
頭ではやめたほうがいいと分かっている関係を続けてしまったり、好きな人を前にすると素直になれなかったり、相手との距離感を間違えてしまったりする。そんな人間の面倒くささを、重くなりすぎないコメディとして描いているのが特徴です。
また、登場人物の恋愛や性に対する価値観がそれぞれ違うため、一つの「普通」を押しつけないところも魅力です。笑えるエピソードの裏側から孤独や自己肯定感の低さが見えてくることもあり、読み進めるほどキャラクターへの印象が変わっていきます。
ここからは、そんな『来世ではちゃんとします』のように、こじれた大人の恋愛や性、コンプレックス、不器用な人間関係を楽しめる漫画を5作品紹介します。
おすすめの作品を詳しく紹介
1.『往生際の意味を知れ!』
元恋人・日下部日和のことを長年忘れられない市松海路の前に、ある日突然その日和が現れるところから始まる米代恭先生の漫画です。海路は再会を喜びますが、日和が戻ってきた目的は彼が想像していたものとはまったく違いました。
『来世ではちゃんとします』とは雰囲気こそ違いますが、「分かっていても好きな相手を諦められない」という恋愛の厄介さには通じるものがあります。恋愛感情が純粋な好意なのか、それとも執着なのか、その境界が少しずつ曖昧になっていくところも見どころです。
『来世ではちゃんとします』で、理屈では整理できない恋愛感情や、ちょっと危うい人間関係が好きだった人におすすめです。より濃密でサスペンス要素のある恋愛漫画を読みたい人にも向いています。

2.『あせとせっけん』
化粧品・バス用品メーカーで働く八重島麻子と、商品開発部の名取香太郎の恋愛を描いた山田金鉄先生の漫画です。汗をかきやすいことをコンプレックスにしている麻子と、匂いに敏感な名取という少し変わった出会いから二人の関係が始まります。
恋愛や身体にまつわるかなりプライベートな悩みを扱いながら、それを笑いものにせず、二人のコミュニケーションを丁寧に描いているところが魅力です。恋人同士になったあとも、仕事や家族、将来について悩みながら関係を深めていきます。
『来世ではちゃんとします』で、恋愛と性を切り離さずに描いているところが好きだった人には相性のいい作品です。こちらはより優しく安定した関係が中心なので、不器用な大人たちが少しずつ幸せになっていく恋愛を読みたい人にもおすすめです。
3.『じゃあ、あんたが作ってみろよ』
長く付き合ってきた勝男と鮎美の関係を通して、恋愛や家事、男女の価値観を描いた谷口菜津子先生の漫画です。それまで疑ってこなかった「恋人ならこうするもの」「男なら、女ならこうあるべき」という考え方が、二人の関係の変化によって少しずつ崩れていきます。
登場人物に欠点がありながら、それを単純に悪者として描かないところが魅力です。失敗して初めて自分の問題に気づき、すぐには変われなくても少しずつ前へ進んでいく姿には、『来世ではちゃんとします』のキャラクターたちにも通じる人間らしさがあります。
恋愛の成功や失敗だけではなく、「自分はどういう人間なのか」を見つめ直していく物語が好きな人におすすめです。大人の恋愛を描きながら笑える場面もしっかりあるため、『来世ではちゃんとします』のコメディ部分が好きな人にも読みやすいでしょう。

4.『ヒメゴト~十九歳の制服~』
大学生の由樹、女装して街を歩く佳人、自分の身体や性に複雑な感情を抱える未果子。三人の若者を中心に、それぞれが隠している欲望やコンプレックスが交錯していく峰浪りょう先生の漫画です。
他人から見えている姿と、自分だけが知っている本当の気持ち。その間にある大きなギャップが人間関係を複雑にしていきます。恋愛や性を扱いながら、人からどう見られたいのか、自分自身をどう受け入れるのかという問題まで踏み込んでいる作品です。
『来世ではちゃんとします』で、普段は普通に働いている人たちが実は他人には言えない悩みを抱えているところに面白さを感じた人にはおすすめです。コメディよりもシリアスな作品ですが、人間の欲望や弱さをさらに深く描いた漫画を読みたい人に向いています。
5.『凪のお暇』
周囲の空気を読み、自分を抑えながら生きてきた大島凪が、仕事も恋人もそれまでの生活も手放して人生をやり直そうとするコナリミサト先生の漫画です。新しい環境でさまざまな人と出会いながら、自分が本当に望んでいる生き方を探していきます。
凪だけではなく、元恋人の慎二をはじめとする周囲の人物たちもかなり不器用です。好きなのに素直になれない、自分を良く見せようとして失敗するなど、大人なのに恋愛になるとうまく振る舞えない人々の姿がコミカルかつ切実に描かれます。
『来世ではちゃんとします』の「問題だらけなのになぜか嫌いになれない登場人物たち」が好きな人には特におすすめです。恋愛だけでなく、仕事や家族、自分自身との付き合い方まで含めた人間ドラマを楽しめます。

まとめ
『来世ではちゃんとします』が好きな人には、完璧ではない大人たちが恋愛や性、人間関係に振り回されながら生きていく漫画がおすすめです。正しい選択が分かっていても、その通りにできるとは限らない。そんな人間の面倒くささを描いているからこそ、登場人物たちに妙な親近感が湧いてきます。
恋と執着が絡み合う濃密な物語なら『往生際の意味を知れ!』、恋愛と性を優しい視点から描いた作品なら『あせとせっけん』。価値観の違いや大人になってからの成長を楽しみたいなら『じゃあ、あんたが作ってみろよ』もおすすめです。
よりシリアスに性やコンプレックスを描いた作品なら『ヒメゴト~十九歳の制服~』、恋愛だけでなく人生そのものを立て直していく物語なら『凪のお暇』も相性のいい作品です。『来世ではちゃんとします』に似てる漫画を探している人は、不器用でちょっと面倒だけれどどこか憎めない人々を描いた作品から、次の一冊を選んでみてください。

