『きのう何食べた?』は、よしながふみ先生による、毎日の食事と二人暮らしを丁寧に描いた料理漫画です。弁護士として働く筧史朗と、美容師の矢吹賢二。二人の生活を中心に、仕事や家族、友人との付き合い、年齢を重ねることで生まれる悩みなどが描かれていきます。
本作の特徴は、豪華な料理や特別な食材ではなく、ごく普通の家庭料理が物語の中心にあること。スーパーで特売品を探し、冷蔵庫に残っている食材を確認しながら献立を考え、家に帰って料理を作る。そんな何気ない毎日の積み重ねが、読んでいるうちにとても大切なものに感じられてきます。
『きのう何食べた?』の魅力とは?
『きのう何食べた?』の大きな魅力は、料理と人間ドラマが自然につながっているところです。料理漫画ではありますが、単に「おいしい料理を作って食べる」だけではありません。誰かのために献立を考えることや、一緒に食卓を囲むことそのものが、登場人物たちの関係を表現しています。
史朗が作る料理も非常に身近です。限られた予算を意識しながらスーパーで買い物をし、手に入りやすい食材を組み合わせて何品もの料理を作っていきます。調理工程も丁寧に描かれているため、「これなら自分でも作れそう」と思わせてくれるのも魅力です。
そしてもう一つ見逃せないのが、史朗と賢二が年齢を重ねていく姿です。仕事、親の老い、自分たちの将来など、若いころとは違った問題が少しずつ現れてきます。それでも二人は毎日の生活を続け、食卓を囲みます。劇的な出来事ではなく、日々の小さな変化から人生を描いているところが本作ならではの味わいです。
ここからは、そんな『きのう何食べた?』のように、料理や食事を通して人間関係や日々の暮らしを描いた漫画を5作品紹介します。
おすすめの作品を詳しく紹介
1.『舞妓さんちのまかないさん』
京都の花街を舞台に、舞妓たちが共同生活を送る屋形で「まかないさん」として働くキヨの日常を描いた小山愛子先生の漫画です。華やかな舞妓の世界とは対照的に、物語の中心にあるのは台所から生まれる素朴な家庭料理です。
誰かのために料理を作り、その料理を食べた人が少し元気になる。そんな食事の温かさは『きのう何食べた?』とよく似ています。特別なごちそうではなく、普段の生活の中で食べる料理だからこそ感じられるおいしさがあります。
料理だけでなく、一緒に暮らす人たちの関係や、それぞれが少しずつ成長していく姿も丁寧に描かれます。『きのう何食べた?』で食卓を囲む時間そのものに魅力を感じた人には特におすすめです。

2.『ワカコ酒』
会社員の村崎ワカコが、仕事帰りなどに一人で店を訪れ、おいしい料理とそれに合うお酒を楽しむ新久千映先生のグルメ漫画です。一人で食事をする時間を、寂しさではなく自分だけの楽しみとして描いています。
『きのう何食べた?』とは自炊と外食という違いがありますが、食事を大げさなイベントにせず、毎日の生活を少し豊かにしてくれるものとして描いているところが共通しています。
仕事で疲れた日でも、おいしいものを食べることで気持ちが切り替わる。そんな小さな幸せを味わえる作品なので、『きのう何食べた?』の日常的な食事シーンが好きな人なら気軽に楽しめます。

3.『孤独のグルメ』
輸入雑貨商を営む井之頭五郎が、仕事で訪れた街で店を探し、一人で食事を楽しむ久住昌之先生・谷口ジロー先生によるグルメ漫画です。有名店を巡るのではなく、そのときの気分や空腹に従って町の食堂などへ入っていくのが特徴です。
『きのう何食べた?』と共通しているのは、「食べる」というごく普通の行為をじっくり楽しめるところ。料理そのものだけでなく、今日は何を食べようかと考える時間まで含めて物語になっています。
誰かと囲む食卓を描く『きのう何食べた?』に対し、こちらは一人の食事が中心。その違いを楽しみながら、食事が日常の中にある幸せを改めて感じられる作品です。

4.『甘々と稲妻』
妻を亡くした高校教師・犬塚公平と、その娘・つむぎが、料理を通して少しずつ日常を取り戻していく雨隠ギド先生の漫画です。料理が得意ではなかった公平が、娘においしいものを食べてもらうために料理へ挑戦していきます。
本作で大切なのは、完成した料理そのもの以上に「誰かのために作る」という気持ちです。うまくいかないことがあっても、一緒に料理を作って食べる時間が家族の思い出になっていきます。
『きのう何食べた?』でも、史朗が料理を作ることは賢二への気持ちを表す一つの方法になっています。言葉だけではなく料理を通して相手を思いやる関係が好きな人なら、『甘々と稲妻』にも温かな気持ちになれるでしょう。
5.『山と食欲と私』
登山を趣味にする会社員・日々野鮎美が、一人で山へ登り、その場所ならではの食事を楽しむ信濃川日出雄先生の漫画です。登山とグルメを組み合わせ、山で食べる料理のおいしさや工夫を描いています。
舞台は山ですが、限られた材料や道具を使いながら「今日は何を食べよう」と考える楽しさは、『きのう何食べた?』の献立作りにも通じるものがあります。料理を作る過程そのものを楽しめる作品です。
また、自分の好きなことを大切にしながら生活する鮎美の姿も魅力。食事だけでなく、自分にとって心地よい暮らし方を描いた漫画が好きな人にもおすすめできます。

まとめ
『きのう何食べた?』が好きな人には、料理のおいしさだけではなく、食事を通して日々の暮らしや人間関係を描いている漫画がおすすめです。毎日繰り返される「作る」「食べる」という行為だからこそ、そこにはその人の性格や生活、大切な人への気持ちが表れます。
家庭料理と穏やかな共同生活を楽しみたいなら『舞妓さんちのまかないさん』、一人で食事を楽しむ時間が好きなら『ワカコ酒』や『孤独のグルメ』。誰かのために料理を作る温かさを味わいたいなら『甘々と稲妻』がおすすめです。
料理と自分らしい時間の両方を楽しみたいなら『山と食欲と私』も相性のいい作品です。『きのう何食べた?』みたいな漫画を探している人は、毎日の食卓や何気ない暮らしが少し楽しみになるような作品から、次の一冊を選んでみてください。

