『凪のお暇』は、コナリミサト先生による、仕事も恋愛も一度手放した女性が自分自身の人生を見つめ直していく漫画です。主人公の大島凪は、周囲の空気を読み、人から嫌われないように自分を抑えながら毎日を過ごしてきました。しかし、仕事や恋人との関係によって心が限界を迎えたことをきっかけに、それまで築いてきた生活を思い切ってリセットします。
会社を辞め、引っ越しをし、人間関係まで整理して始まった凪の「お暇」。節約しながら暮らす小さな部屋、新しく出会う隣人たち、そして忘れたくても簡単には切れない元恋人との関係。環境を変えたからといってすぐに人生がうまくいくわけではありませんが、凪は失敗を重ねながら少しずつ自分が本当に望んでいるものを探していきます。
『凪のお暇』の魅力とは?
本作の大きな魅力は、「人生をやり直す」というテーマを現実的に描いているところです。凪は仕事を辞めて新しい生活を始めますが、突然別人のように強くなるわけではありません。人の顔色を気にしてしまう癖や、自分に自信を持てないところは簡単には消えず、新しい人間関係でも何度も悩むことになります。
それでも以前と違うのは、自分がなぜ苦しかったのかを少しずつ考えられるようになることです。「嫌われないため」ではなく「自分はどうしたいのか」を考えるようになり、小さな選択を積み重ねながら凪自身が変わっていきます。その変化が丁寧だからこそ、読んでいる側も一緒に前へ進んでいるような感覚を味わえます。
さらに面白いのが、凪を取り巻く人物たちも決して完璧ではないことです。特に元恋人の慎二は、凪への気持ちがありながら素直に表現できず、思っていることとは正反対の行動を取ってしまいます。自由に生きているように見える人物にも別の悩みがあり、物語が進むほど最初の印象とは違った一面が見えてきます。
ここからは、そんな『凪のお暇』のように、仕事や恋愛、人間関係に悩みながら自分らしい生き方を探していく漫画を5作品紹介します。
おすすめの作品を詳しく紹介
1.『じゃあ、あんたが作ってみろよ』
長く付き合ってきた勝男と鮎美の関係を通して、恋愛や料理、男女の価値観を描いた谷口菜津子先生の漫画です。二人の関係が変化したことをきっかけに、それまで「普通」だと思っていた考え方をそれぞれが見つめ直していきます。
特に『凪のお暇』と似ているのが、大人になってから自分自身の価値観を作り直していくところです。これまでの生き方がうまくいかなくなったとき、相手だけを責めるのではなく「自分は本当はどうしたいのか」と考え始めます。
失敗したり遠回りしたりしながら少しずつ変わっていく登場人物たちの姿も魅力です。『凪のお暇』で、凪や慎二たちの不器用だけれど人間らしい成長が好きだった人には特におすすめです。

2.『ひらやすみ』
定職に就かず、のんびりと暮らしている生田ヒロトと、地方から上京してきた従妹のなつみを中心に描かれる真造圭伍先生の日常漫画です。ヒロトが譲り受けた平屋を舞台に、何気ない毎日の中でさまざまな人との関係が広がっていきます。
大きな成功を目指して突き進む物語ではなく、「自分にとって心地よい生き方とは何だろう」と考えさせてくれるところが『凪のお暇』とよく似ています。周囲と比べて焦ったり、自分だけ取り残されたように感じたりする気持ちも丁寧に描かれています。
『凪のお暇』で、凪が新しい部屋で料理をしたり、近所の人と交流したりする穏やかな日常が好きだった人にはぴったりです。疲れているときにゆっくり読みたくなる作品でもあります。

3.『来世ではちゃんとします』
CG制作会社で働く大森桃江をはじめ、恋愛や性についてそれぞれ異なる悩みを抱えた大人たちの日常を描く、いつまちゃん先生のラブコメディです。一見すると自由に生きているような登場人物たちですが、それぞれに寂しさやコンプレックスがあります。
『凪のお暇』との共通点は、登場人物が誰も完璧ではないところです。恋愛になると素直になれなかったり、自分でも良くないと分かっている行動を繰り返したりする。それでも、そんな欠点を持った人間たちを完全に否定せず描いています。
慎二のような「好きなのにうまく伝えられない人物」が気になった人や、『凪のお暇』の少し笑えて少し切ない人間関係が好きだった人にはおすすめです。より恋愛と性に踏み込んだ大人向けのコメディを楽しめます。

4.『おひとりさまホテル』
ホテル設計会社で働く塩川葉菜を中心に、「一人で過ごす時間」とホテルの魅力を描いたマキヒロチ先生の漫画です。さまざまなホテルで自分だけの時間を楽しむ登場人物たちを通して、一人でいることの豊かさが描かれます。
誰かと一緒にいなければ寂しいという価値観ではなく、自分が心地よく過ごせる時間を大切にしているのが特徴です。日常から少し離れ、自分自身を整える時間を持つという部分は、すべてを一度手放して「お暇」を始めた凪の姿にも通じます。
『凪のお暇』で、恋愛そのものよりも「自分の機嫌を自分で取りながら暮らしていく」ような部分に惹かれた人におすすめです。生活を少しだけ楽しくするヒントが欲しい人にも読みやすい作品です。

5.『珈琲いかがでしょう』
移動珈琲店を営む青山一が、さまざまな場所で悩みを抱えた人たちと出会っていくコナリミサト先生の漫画です。美味しい珈琲と穏やかな青山との時間をきっかけに、登場人物たちはそれぞれが抱えている問題と向き合っていきます。
『凪のお暇』と同じコナリミサト先生の作品であり、日常の中にある生きづらさを描きながらも、どこか温かさを感じられるところが共通しています。ただし物語が進むと青山自身の過去も明らかになり、最初の穏やかな印象とは違った一面が見えてきます。
人生が思い通りにいかない人たちを描きながら、それでも少しだけ前を向けるような物語になっています。『凪のお暇』の優しさだけではなく、登場人物の意外な過去や人間臭さまで好きだった人には特におすすめです。
まとめ
『凪のお暇』が好きな人には、仕事や恋愛の成功だけをゴールにするのではなく、「自分にとって幸せな生き方とは何なのか」を探していく漫画がおすすめです。人生を変えたいと思っても、人間は急には変われません。だからこそ、小さな失敗と気づきを積み重ねながら前へ進んでいく登場人物たちに共感できます。
恋愛や男女の価値観を見つめ直す物語なら『じゃあ、あんたが作ってみろよ』、ゆったりした日常の中で自分らしい生き方を探す作品なら『ひらやすみ』。不器用な大人たちの恋愛をもっとコミカルに楽しみたいなら『来世ではちゃんとします』もおすすめです。
一人の時間を楽しみながら自分自身を整える物語なら『おひとりさまホテル』、コナリミサト先生らしい人間ドラマをもっと読みたいなら『珈琲いかがでしょう』も相性のいい作品です。『凪のお暇』に似てる漫画を探している人は、少し疲れた人生を自分のペースで立て直していく作品から、次の一冊を選んでみてください。

