『作りたい女と食べたい女』は、ゆざきさかおみによる、料理を作ることが大好きな野本さんと、たくさん食べることが大好きな春日さんの関係を描いた料理・恋愛漫画です。野本さんには、大きな料理を思い切り作ってみたいという願望があります。しかし一人暮らしでは食べきれないため、なかなか実現することができません。
そんな野本さんが出会うのが、同じマンションに住む春日さんです。気持ちいいほどたくさん食べる春日さんを見て、野本さんは自分が作った料理を食べてもらうようになります。「作りたい」と「食べたい」という二人の気持ちがぴったり重なり、一緒に食卓を囲む時間が増えるにつれて、その関係も少しずつ特別なものへ変化していきます。
『作りたい女と食べたい女』の魅力とは?
大きな魅力は、料理が二人の関係をつなぐ大切なコミュニケーションになっているところです。野本さんにとって料理は単なる家事ではなく、自分の「作りたい」という気持ちを表現できるもの。そして春日さんがそれをおいしそうに食べてくれることで、今まで一人ではできなかった料理にも挑戦できるようになります。
春日さんにとっても、食べることは大切な楽しみです。豪快に料理を食べる姿は見ていて気持ちよく、野本さんが「この人にもっと作ってあげたい」と思う気持ちにも自然と納得できます。作る側と食べる側のどちらか一方だけではなく、二人が一緒だからこそ成立する食卓が描かれています。
そして物語が進むにつれて、「一緒に食べるのが楽しい」という感情だけでは説明できない気持ちが生まれていきます。何気ない会話をしたり、買い物をしたり、料理を作ったりする時間の積み重ねから恋愛感情が育っていくため、二人の距離の変化をじっくり見守れるのも魅力です。
同時に本作では、女性に押しつけられがちな役割や結婚観、家族との関係など、日常の中に存在する生きづらさにも触れています。それでも物語全体が重苦しくなりすぎないのは、おいしい料理と安心して過ごせる人との時間があるから。自分らしく生きるための「居場所」を作っていく物語としても楽しめます。
ここからは、『作りたい女と食べたい女』のように、料理を通して人との関係が深まっていく作品や、女性たちの暮らしと恋愛、自分らしい生き方を丁寧に描いた漫画を中心に5作品紹介します。
おすすめの作品を詳しく紹介
1.『きのう何食べた?』
弁護士の筧史朗と美容師の矢吹賢二、通称シロさんとケンジの二人暮らしを、毎日の料理とともに描いた作品です。シロさんが仕事帰りにスーパーへ寄り、予算や栄養を考えながら献立を組み立て、家でケンジと一緒に食卓を囲みます。
料理だけでなく、仕事や家族、友人、年齢を重ねていくことなど、二人が生活していくうえで避けられない問題も描かれます。恋人同士であっても考え方は違い、ときにはすれ違う。それでも一緒にご飯を食べる日常が二人の生活の中心にあります。
『作りたい女と食べたい女』で、恋愛と食事が別々の要素ではなく、「好きな人と一緒に暮らして食べること」そのものが物語になっているところに惹かれた人には特におすすめです。日々の献立を楽しみながら、パートナーと人生を歩むことについても考えさせられます。

2.『かしましめし』
同級生の死をきっかけに再会した千春、ナカムラ、英治の3人が、一緒に料理を作り、食卓を囲みながらそれぞれの人生と向き合っていくグルメ漫画です。仕事や恋愛で傷ついた大人たちが、おいしいものを食べることで少しずつ心を休ませていきます。
何か問題が起きても、食事をしただけですべてが解決するわけではありません。それでも、誰かと料理を作って、食べながら話をすることで、「もう少しやってみよう」と思えることがあります。食卓が安心して戻ってこられる居場所になっている作品です。
『作りたい女と食べたい女』で、料理を介して血縁とは違う大切な関係を作っていくところが好きな人におすすめです。恋愛や仕事、性別や生き方について悩む大人たちを描きながら、おいしいご飯が物語を優しく包んでいます。
3.『舞妓さんちのまかないさん』
京都の花街を舞台に、舞妓たちが共同生活を送る屋形で「まかないさん」として働くキヨの日常を描いた料理漫画です。舞妓を目指して京都へやってきたキヨは、やがて料理を作ることを自分の役割として見つけていきます。
キヨが作るのは、親子丼やカレーなど暮らしの中にある身近な料理が中心です。しかし、厳しい稽古を終えた舞妓たちにとって、その日の自分に合った温かいご飯は何よりのごちそう。料理を通して相手を気遣う優しさが丁寧に描かれています。
『作りたい女と食べたい女』で、誰かのために料理を作る喜びや、食べてくれる人がいることで料理がもっと楽しくなる感覚が好きな人におすすめです。女性たちが一緒に暮らし、それぞれの道を歩みながら支え合う姿にも共通する温かさがあります。

4.『おひとりさまホテル』
ホテル設計会社で働く塩川葉菜が、さまざまなホテルで「ひとり時間」を楽しむ姿を描いた作品です。ホテルの部屋や食事、サービスを味わいながら、自分のためだけに時間を使う贅沢が描かれています。
誰かと一緒に過ごす幸せではなく、一人でいることも立派な楽しみとして描いているのが特徴です。周囲が決めた幸せの形に自分を合わせるのではなく、自分が心地よいと思える時間や暮らしを大切にする姿勢があります。
『作りたい女と食べたい女』で、料理や恋愛だけでなく、「自分がどう生きたいのか」を登場人物たちが考えていくところに惹かれた人におすすめです。日常の中に自分だけの楽しみを見つける心地よさを味わえます。

5.『メゾンプアナの7人の食卓』
さまざまな事情を抱えた女性たちが暮らすシェアハウス「メゾンプアナ」を舞台に、共同生活と食卓を描いた料理・人間ドラマです。年齢や仕事、価値観の異なる女性たちが、同じ屋根の下で生活しながらそれぞれの人生と向き合っていきます。
誰かが料理を作り、みんなで食卓を囲む。そんな何気ない時間の中で、住人たちの悩みや本音が少しずつ見えてきます。家族とは違うけれど、困ったときにはそばにいる。そんな新しい人とのつながり方が魅力です。
『作りたい女と食べたい女』で、女性たちが自分にとって心地よい暮らしや人間関係を作っていくところが好きな人には特におすすめです。料理と食卓を中心に、誰かと一緒に生きることの温かさを描いている点でも相性のいい作品です。

まとめ
『作りたい女と食べたい女』は、料理を作ることが好きな野本さんと、食べることが好きな春日さんが、一緒に食卓を囲むことから関係を深めていく物語です。「作りたい人」と「食べたい人」というシンプルな組み合わせから始まり、やがて恋愛や家族、自分らしい生き方へと物語が広がっていきます。
料理とパートナーとの暮らしなら『きのう何食べた?』、食卓を居場所にする大人たちの物語なら『かしましめし』がおすすめです。誰かのために作る料理なら『舞妓さんちのまかないさん』、自分らしい時間を大切にする物語なら『おひとりさまホテル』、女性たちの共同生活と食卓なら『メゾンプアナの7人の食卓』も楽しめます。
おいしいものを一緒に食べることから始まり、いつの間にかその人と過ごす時間そのものが大切になっている。『作りたい女と食べたい女』で、そんな二人の関係や温かな食卓、自分らしく生きる姿に惹かれた人なら、ぜひこの5作品も読んでみてください。

