『グリーンヒル』が好きな人におすすめの漫画5選【バイク・青春・ギャグ】

ギャグ

『グリーンヒル』は、古谷実による青春バイクギャグ漫画です。主人公は、特にやりたいこともないまま怠惰な大学生活を送っている19歳の関口。そんな彼がある日、バイクに乗る女性・ミドリちゃんへ一目惚れしたことで、それまで停滞していた日常が突然動き始めます。

ミドリちゃんと同じバイクチームに入りたい――。ただそれだけの理由で関口は、免許もバイクも知識もないままチーム「グリーンヒル」へ加入します。しかしそこで待っていたのは、関口が想像していた格好いいバイカー集団とは少し違う、妙に濃くてどこか人生に迷っている大人たちでした。

チームリーダーの岡ミドリ、床屋を営む伊藤茂、そして大学の同級生・しのびだなど、関口の周囲には強烈な人物ばかりが集まります。バイクを題材にしながら、描かれるのは速さやテクニックよりも、若者と大人になりきれない人々のどうしようもなくおかしい日常です。

『グリーンヒル』の魅力とは?

『グリーンヒル』でまず面白いのは、主人公・関口の動機があまりにも軽いことです。バイクそのものに強い憧れがあったわけではなく、好きになった女性がバイクに乗っていたからチームへ入る。免許すら持っていないのに、恋愛の勢いだけで未知の世界へ飛び込んでしまいます。

しかし、そのどうしようもなく浅い動機が結果的に関口の世界を広げていきます。人生を変えるきっかけは、必ずしも立派な夢や強い決意でなくてもいい。何となく始めたことから新しい人間関係が生まれ、知らなかった世界へ踏み込んでいくところが本作の青春らしさです。

そして『グリーンヒル』を特別な作品にしているのが、バイクチームに集まる大人たちです。チームリーダーの岡ミドリをはじめ、彼らは「大人になれば人生の答えが分かる」という幻想を豪快に壊してくれます。

仕事があっても、家族がいても、お金を持っていても、人は普通に迷います。寂しくなったり、恋愛で悩んだり、しょうもないことに意地を張ったりします。学生の関口よりずっと年上なのに、精神的には似たような場所をぐるぐるしている人物もいます。

ヤンマガ公式でも、本作は「無気力で退廃的だけど青春の中にいる若者」と、「将来への不安や孤独を抱える大人になりきれないおっさんたち」が交錯する作品として紹介されています。そこが単なるバイクギャグでは終わらない面白さです。

古谷実らしいギャグも全開です。登場人物の見た目から会話までクセが強く、「なぜそこでそんな発想になるのか」と思うような行動が次々と飛び出します。しょうもない話を大真面目に続けるだけで笑える空気は、『行け!稲中卓球部』や『僕といっしょ』にも通じます。

一方で、その笑いの合間に急に人生について考えさせられる瞬間があります。「自分はこのままでいいのか」「何か始めたほうがいいのではないか」と思いながら、結局何もしない。そんな人間のだらしなさや焦りが妙に生々しく描かれています。

バイクも本作では特別な意味を持っています。単なる乗り物ではなく、知らない場所へ行くための道具であり、普段なら出会わなかった人間同士をつなぐものです。関口もバイクをきっかけに、それまでの大学生活では知ることのなかった大人たちと関わることになります。

物語が進んでも、関口が突然「立派な大人」へ変身するわけではありません。迷い、恋に振り回され、くだらないことをしながら、それでも少しずつ人生は前へ進んでいきます。この劇的すぎない変化こそ、『グリーンヒル』らしい青春の描き方です。

『グリーンヒル』は『週刊ヤングマガジン』で1999年から2000年まで連載された古谷実の連載第3作。単行本は全3巻で完結しています。短いシリーズながら、バイク、恋愛、ギャグ、若者の焦り、大人の孤独まで詰まった濃密な作品です。

ここからは、『グリーンヒル』のように、冴えない若者たちの青春、どうしようもない大人、くだらないギャグ、人生への迷い、そして何となく始めたことによって日常が少し変わっていく漫画を中心に5作品紹介します。

おすすめの作品を詳しく紹介

1.『僕といっしょ』

『グリーンヒル』の前に古谷実が連載していた青春ギャグ漫画です。母親を亡くし家を飛び出した兄弟・すぐ夫といく夫が東京へ向かい、イトキンをはじめとする行き場のない少年たちと出会います。

主人公たちは決して立派ではなく、間違えたり、逃げたり、しょうもないことに夢中になったりしながら毎日を生きています。それでも一緒に暮らす人間ができたことで、少しずつ居場所が生まれていきます。

『グリーンヒル』で、人生に迷っている人物たちを笑い飛ばしながら、ときどき強烈な切なさを感じさせる古谷実の作風が好きだった人には最もおすすめです。『グリーンヒル』に登場する伊藤茂と『僕といっしょ』のイトキンのつながりを想像しながら読むのも楽しい作品です。

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2.『行け!稲中卓球部』

古谷実の代表作となった学園ギャグ漫画です。稲豊中学校の男子卓球部に所属する前野、井沢、田中、田辺、竹田、木之下たちが、卓球以上にくだらない遊びや下ネタへ全力を注ぎます。

登場人物たちはとにかく馬鹿ですが、モテたい、自分を認めてもらいたい、仲間といたいという思春期らしい感情も随所に描かれています。

『グリーンヒル』で好きなのが人生論よりも古谷実独特のギャグや、クセが強すぎる人物たちの会話ならこちらがおすすめです。『グリーンヒル』よりさらに笑いへ振り切った古谷ワールドを楽しめます。

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3.『シガテラ』

古谷実による青春サスペンスです。高校生の荻野優介は、学校でいじめを受けながら、平凡で穏やかな人生を求めています。そんな彼がバイクの免許を取るため教習所へ通い始めたことで、南雲ゆみと出会います。

恋人ができ、バイクにも乗り、一見すると荻野の日常は少しずつ明るくなっていきます。しかしその周囲には、暴力や犯罪、説明できない不安が忍び寄ります。

『グリーンヒル』で、バイクをきっかけに冴えない若者の生活が変わっていくところが好きだった人におすすめです。ギャグはかなり抑えられていますが、「普通の青春のすぐ隣に不安がある」という古谷実の作風がより濃くなった作品です。

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4.『げんしけん』

木尾士目による大学サークル漫画です。大学へ入学した笹原完士は、漫画やアニメが好きでありながら、自分が「オタク」であることをどこか恥ずかしく感じています。そんな彼が入るのが、オタクたちが集まるサークル「現代視覚文化研究会」、通称げんしけんです。

サークルには、それぞれ違った趣味や性格を持つメンバーが集まり、漫画、ゲーム、同人誌などを楽しみながら大学生活を送ります。

『グリーンヒル』で、何となく入ったコミュニティで濃すぎる人々と出会い、主人公の日常が少しずつ変わっていくところが好きだった人におすすめです。バイクチームとオタクサークルという違いはあっても、「好きなものを中心に人が集まる居場所」という魅力はよく似ています。

5.『ソラニン』

浅野いにおによる青春漫画です。大学卒業後に会社員として働く芽衣子と、音楽を続けながらアルバイト生活を送る恋人・種田を中心に、若者たちが「このままの人生でいいのか」と迷う姿を描きます。

何か特別なことをしたい。しかし自分に才能があるのか、今の生活を捨てるだけの覚悟があるのかは分からない。そんな20代特有の焦りや不安が丁寧に描かれています。

『グリーンヒル』で、くだらないギャグの奥にある「大人になるって何だろう」「このままでいいのかな」という感覚が好きだった人におすすめです。笑いは少なめですが、若者が将来を決めきれないまま時間だけが進んでいく切なさには強く通じるものがあります。

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まとめ

『グリーンヒル』は、古谷実による青春バイクギャグ漫画です。怠惰な大学生活を送っていた19歳の関口が、バイク乗りの女性・ミドリちゃんへの一目惚れをきっかけに、免許もバイクも持たないままバイクチーム「グリーンヒル」へ飛び込みます。

古谷実らしいダメな若者たちをもっと読みたいなら『僕といっしょ』、とにかくギャグを楽しむなら『行け!稲中卓球部』がおすすめです。バイクと冴えない青春なら『シガテラ』、濃い仲間が集まる居場所なら『げんしけん』、将来に迷う若者の切なさなら『ソラニン』も相性抜群です。

人生を変えるために、最初から立派な夢が必要なわけではありません。関口の場合は、たまたま好きになった女性がバイクに乗っていた。それだけでした。それでも勢いで飛び込んだ場所には、それまで知らなかった人間や世界が待っています。『グリーンヒル』の、どうしようもなくくだらないのに妙に人生へ刺さってくる青春に惹かれた人なら、今回紹介した5作品にも笑えて少し切ない若者たちが待っています。

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