『ブランクスペース』が好きな人におすすめの漫画5選【SF・青春・不思議な日常】

SF

『ブランクスペース』は、熊倉献によるSFガール・ミーツ・ガール漫画です。主人公は、都立空代高校に通う女子高校生・狛江ショーコ。ある雨の日、ショーコは同級生の片桐スイが、何もない空間にまるで傘が存在するかのように雨を防いでいるところを目撃します。

スイには、想像したものを「目には見えないけれど実体のあるもの」として作り出す不思議な力がありました。透明な傘でも、そこに触れれば確かに存在している。ショーコはその奇妙な能力を面白がり、スイと交流するようになります。

最初は少し不思議な女子高校生二人の日常として始まりますが、スイが作り出す「空白」は次第に危険な方向へ変化していきます。想像したものが現実になるという夢のような能力が、友情や孤独、人間の悪意と結びついたとき何が起こるのか。静かな青春と不穏なSFが混ざり合った独特の作品です。

『ブランクスペース』の魅力とは?

『ブランクスペース』の最大の魅力は、「見えないけれど、そこにある」という非常にシンプルな能力から、驚くほど物語が広がっていくところです。スイが生み出したものは目には映りません。しかし触れることができ、人間や現実の世界へ影響を与えます。

最初のうちは、透明なものを作って遊ぶこと自体が楽しい。ショーコもスイの能力を怖がるのではなく、「こんなこともできるんじゃない?」と次々にアイデアを出します。そのため序盤には、秘密を共有した友達同士で放課後に遊んでいるような軽やかさがあります。

ところが、想像したものを現実にできる能力には当然危険な側面もあります。スイはいじめをきっかけに凶器を作り始め、ショーコの「彼氏を作ろう」という提案からは、ついには人間そのものを作ろうとするようになります。

「何でも作れるなら、人間はどこまで作れるのか」。髪や骨、内臓のような細部まで想像すれば、本当に人間と呼べる存在になるのか。遊びだったはずの能力が、生き物とは何か、存在するとは何かという少し怖い領域へ入り込んでいきます。

さらに不気味なのが、スイ自身が意識して作ったものだけが「空白」ではないことです。彼女が気づかないうちに生み出していた「透明な犬」は、次第に凶暴性を増し、ショーコとスイだけではなく空代市の人々の日常まで脅かしていきます。

この作品では、大きなSF設定について長々と説明することはありません。なぜスイにこんな力があるのか、空白とは一体何なのか。すべてに明確な答えを与えるよりも、登場人物が目の前の不思議な出来事とどう付き合うのかを描いていきます。

だからこそ、ショーコとスイの友情が物語の中心にあります。スイの能力がなくても、二人はそれぞれ少し変わった女子高校生です。友達になり、一緒にくだらないことを試し、時には傷つけ合う。その普通の関係のすぐ隣に、説明できない「空白」が存在しています。

大事件が起きても、作品全体には独特の静けさがあります。日常と異常の境界が曖昧で、「さっきまで普通の放課後だったのに、いつの間にこんなところまで来てしまったんだろう」と感じさせる展開が印象的です。

『ブランクスペース』は2020年8月から「ふらっとヒーローズ」で連載され、全17話・コミックス全3巻で完結。「このマンガがすごい!2022」オンナ編では第6位にランクインしました。さらに2025年には、本編に登場した空白たちやショーコとスイの日常を描くスピンオフ短編集『ブランクスペース補遺』も刊行されています。

ここからは、『ブランクスペース』のように、普通の日常へ入り込む説明できない現象、若者同士の特別な関係、不思議な力が思わぬ方向へ広がっていくSFや青春漫画を中心に、おすすめの5作品を紹介します。

おすすめの作品を詳しく紹介

1.『バグエゴ』

ONE原作、設楽清人作画による青春オカルト漫画です。高校生の羊谷は、同級生の黒堂から、ある条件を満たすと現実ではあり得ないことが起きる「ウラワザ」を教えられます。

最初は二人だけが知っている秘密の遊びのように見えます。しかし奇妙なルールを試していくうちに、世界そのものに存在する「バグ」のような現象へと踏み込んでいきます。何が起きるのか分からないのに、好奇心から試さずにはいられない危うさがあります。

『ブランクスペース』で、ショーコとスイが「こんなものを作ったらどうなる?」と能力を試していく序盤のワクワク感が好きだった人には特におすすめです。二人だけの秘密だったものが次第に理解できない世界へつながっていく展開もよく似ています。

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2.『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』

浅野いにおによるSF青春漫画です。東京上空に巨大な宇宙船「母艦」が浮かび続ける世界で、小山門出と中川凰蘭を中心とした少女たちの日常が描かれます。

普通なら世界の終わりのような光景なのに、人々は学校へ行き、仕事をし、恋をして暮らしています。しかし母艦の存在や国家の対応は少しずつ少女たちの人生へ影響し、いつまでも変わらないと思っていた日常が揺らいでいきます。

『ブランクスペース』で、女子高校生たちの何気ない会話と、すぐそばに存在する異常なSF設定の組み合わせが好きだった人におすすめです。世界規模の異変よりも、そこで生きる若者たちの友情や感情が強く印象に残ります。

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3.『光が死んだ夏』

モクモクれんによる青春ホラーです。田舎の集落で暮らすよしきは、山で行方不明になってから戻ってきた幼なじみ・光が、本物の光ではない「ナニカ」に入れ替わっていることに気づきます。

姿も記憶も光そのもの。それでも決定的な部分だけが人間ではありません。よしきは恐怖を感じながらも、光を完全に失うことに耐えられず、その存在との日常を続けます。

『ブランクスペース』で、「理解できない存在が身近にいるのに日常は続いていく」という空気が好きだった人におすすめです。不思議な現象そのものより、秘密を共有する二人の関係が物語を動かしているところにも共通する魅力があります。

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4.『天国大魔境』

石黒正数によるSFミステリーです。文明が崩壊した日本を旅するマルとキルコの物語と、外界から隔離された施設で暮らす子どもたちの物語が並行して描かれます。

世界に何が起きたのか、施設は何のために存在しているのか、人間を襲う異形「ヒルコ」とは何なのか。明確な説明が少ないまま断片的な情報が積み重なり、少しずつ物語同士がつながっていきます。

『ブランクスペース』で、作者からすべてを説明されるのではなく、登場人物の会話や出来事から世界の仕組みを想像する楽しさに惹かれた人におすすめです。「これは一体どういうことなんだろう」と考えながら読むSFとして相性があります。

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5.『まなざし珠子の自由研究』

乃木坂太郎による青春ジュブナイルホラーです。高校2年生の川嶋珠子は、幼なじみの高浜みなとらとともに、夏休みの「自由研究」としてある異様なテーマへ挑むことになります。

題材となるのは「亡くなった先生を生き返らせる」こと。学校生活の延長にあるはずの自由研究が、生と死、喪失、そして説明できない現象へつながっていきます。

『ブランクスペース』で、高校生が好奇心から普通なら踏み込まない領域まで進んでしまうところが好きだった人におすすめです。「ちょっと試してみよう」から始まった行動が、本人たちの想像を超える結果へつながっていく不穏さも共通しています。

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まとめ

『ブランクスペース』は、熊倉献によるSFガール・ミーツ・ガール漫画です。狛江ショーコが、想像したものを目には見えない「空白」として作り出せる片桐スイと出会ったことで、二人だけの不思議な遊びが始まり、やがて空代市そのものを巻き込む出来事へ発展していきます。

二人だけの秘密から奇妙な世界へ踏み込む作品なら『バグエゴ』、少女たちの日常と大きなSFが共存する作品なら『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』がおすすめです。理解できない存在と親密な関係を築く『光が死んだ夏』、説明されない世界の謎を追う『天国大魔境』、高校生の好奇心が危険な領域へ進んでいく『まなざし珠子の自由研究』も相性のいい作品です。

目には見えないからといって、存在しないとは限らない。想像したものが本当に形を持ったとき、それは楽しいものにも、恐ろしいものにもなります。『ブランクスペース』の静かな会話、不思議な青春、そして日常がいつの間にか異常へ変わっていく感覚に惹かれた人なら、今回紹介した5作品にもページをめくるほど大きくなる「違和感」を楽しめるはずです。

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