『バグエゴ』は、『ワンパンマン』『モブサイコ100』などで知られるONEが原作、設楽清人が作画を手掛ける青春怪異漫画です。物語の中心となるのは、親切な転校生・羊谷と、孤独な同級生・黒堂。羊谷が学校生活で役立つライフハックを黒堂に教えたことをきっかけに、黒堂から普通ではない「ウラワザ」の存在を教えられます。
黒堂の言うウラワザとは、ゲームの裏技のように特定の手順を踏むことで、現実世界にあり得ない現象を引き起こす方法です。一見すると何の役にも立たなそうなものから、使い方次第では危険な結果を招きそうなものまで、その内容はさまざま。羊谷と黒堂は奇妙なウラワザを実際に試しながら、少しずつ世界の「バグ」のような領域へ踏み込んでいきます。
『バグエゴ』の魅力とは?
最大の魅力は、「日常の中に隠された裏ルール」という設定です。魔法使いや超能力者が突然現れるのではなく、決められた場所で決められた行動をするなど、一見意味のない手順を実行すると現実がおかしな反応をする。このゲームのバグ技を現実世界で試しているような感覚が、『バグエゴ』ならではの面白さです。
しかも、ウラワザの結果が簡単には予測できません。ちょっとした好奇心から試した行動が思わぬ現象につながり、「このルールはいったい誰が作ったのか」「なぜこんなことが起こるのか」という新しい疑問が生まれていきます。奇妙な現象そのものだけでなく、その背後に存在する仕組みを考えたくなる作品です。
もうひとつ重要なのが、羊谷と黒堂の関係です。ウラワザという強烈な設定がありながら、その中心にいるのは普通の高校生たち。黒堂の話を最初から完全に信じるわけではない羊谷と、自分の知っている奇妙な世界を共有したい黒堂が、一緒にウラワザを試すことで少しずつ距離を縮めていきます。
物語が進むにつれてウラワザをめぐる世界も広がり、単なる「変なことを試してみる青春」だけでは済まなくなっていきます。それでも、不穏さの中に妙なおかしさを入れてくるのはONE作品らしいところ。何が起こるか分からない怖さと、「次はどんなウラワザが出てくるんだろう」という好奇心が同時に膨らんでいきます。
ここからは、『バグエゴ』のように日常の裏側に隠された奇妙な世界や、不可解なルール、怪異に巻き込まれる若者たちを描いた漫画を中心に5作品紹介します。
おすすめの作品を詳しく紹介
1.『ダンダダン』
幽霊を信じる女子高生・綾瀬桃と、宇宙人を信じるオカルトマニアの高倉健が、それぞれの主張を証明しようとしたことから怪異と宇宙人の世界へ巻き込まれていくオカルティックバトル漫画です。
都市伝説や怪談のような題材を扱いながら、ホラー、SF、バトル、ギャグ、青春を猛烈なテンポで混ぜ合わせているのが魅力。普通の高校生の日常のすぐ隣に、常識では説明できない世界が存在しています。
『バグエゴ』で、羊谷と黒堂が好奇心から普通なら近づかない世界へ踏み込んでいくところが好きだった人には特におすすめです。怖いのにどこか笑えて、奇妙な出来事が起こるほど先を読みたくなる感覚もよく似ています。

2.『サマータイムレンダ』
幼なじみ・小舟潮の死をきっかけに故郷の日都ヶ島へ帰ってきた網代慎平が、島で起こる不可解な出来事へ巻き込まれていくSFサスペンスです。やがて慎平は、人間そっくりの姿をした「影」と時間をめぐる異常な現象に気づいていきます。
物語の大きな面白さは、不可解な現象にも一定のルールが存在することです。何ができて何ができないのかを観察し、情報を集めながら少しずつ世界の仕組みを理解していくことで、最初は意味不明だった出来事がつながっていきます。
『バグエゴ』のウラワザについて「この条件ならどうなる?」「このルールを別の方法で利用したら?」と考えるのが好きな人とはかなり相性があります。謎解きや頭脳戦をもっと濃く楽しみたい人におすすめです。

3.『光が死んだ夏』
田舎の集落で暮らす少年・よしきが、幼なじみの光が「光ではない何か」に入れ替わっていることに気づくところから始まる青春ホラーです。見た目も声も記憶も光そのものなのに、目の前にいる存在だけが決定的に違っています。
日常風景そのものは普通なのに、そのすぐそばに説明できない異常が存在している不気味さが魅力です。怪異が現れた瞬間だけ怖いのではなく、「いつもの日常がすでに何かおかしい」という感覚が少しずつ積み重なっていきます。
『バグエゴ』で、普通の高校生活と世界のバグのような現象が自然につながっているところに惹かれた人におすすめです。こちらはコメディ要素が少なく、青春と怪異が混ざり合う不穏さをもっと強く味わえます。

4.『見える子ちゃん』
ある日突然、普通の人には見えない恐ろしい存在が見えるようになってしまった女子高生・四谷みこを描くホラーコメディです。みこが選んだ対処法は怪異と戦うことではなく、徹底して「見えていないふり」をすることでした。
本気で怖い怪異が目の前にいるにもかかわらず、それを無視しながら普通の日常生活を続けなければならない。その異常な状況から独特の笑いが生まれます。しかし物語が進むにつれて怪異同士にも違いがあることが見えてきて、世界の謎も広がっていきます。
恐怖と笑いを同じ物語の中で成立させているところは『バグエゴ』とも好相性です。奇妙な現象が怖いだけではなく、登場人物の反応や発想によって面白さへ変わる作品が好きな人におすすめします。
5.『裏バイト:逃亡禁止』
高額報酬につられて、白浜和美と黒嶺ユメが普通ではない危険な「裏バイト」に挑んでいくホラー漫画です。仕事の内容は一見すると簡単でも、その現場には常識では説明できない怪異や異常なルールが潜んでいます。
特に面白いのが、それぞれの怪異に独自の法則が存在するところです。「これをしてはいけない」「こうなったら逃げなければならない」といったルールを知らないまま行動すると、一気に取り返しのつかない状況へ追い込まれることがあります。
『バグエゴ』のウラワザにある、「特定の条件を満たすと現実がおかしな反応をする」という部分が好きならかなりおすすめです。『バグエゴ』よりホラー色と危険度は強めですが、未知のルールを観察して攻略していく面白さをたっぷり味わえます。
まとめ
『バグエゴ』は、現実世界にもゲームのバグ技のような「ウラワザ」が存在したらどうなるのか、という発想を青春物語へ落とし込んだ作品です。羊谷と黒堂が何気ない好奇心からウラワザを試し、その結果として世界の知らない側面へ少しずつ近づいていく展開には、怖さとワクワク感が同居しています。
オカルトと青春を勢いよく楽しみたいなら『ダンダダン』、異常現象のルールを解き明かす面白さなら『サマータイムレンダ』がおすすめです。日常へ侵食する怪異なら『光が死んだ夏』、ホラーと笑いの組み合わせなら『見える子ちゃん』、奇妙なルールを攻略する恐怖をもっと味わいたいなら『裏バイト:逃亡禁止』も相性があります。
「決められた手順を実行したら、現実ではあり得ないことが起きた」。そんな都市伝説のような話にワクワクする人や、世界の裏側に隠された法則を考えるのが好きな人なら、ぜひこの5作品も読んでみてください。

