『今日から俺は!!』は、西森博之による青春不良コメディです。主人公の三橋貴志は、転校をきっかけに「今日からツッパリになる」と決意。それまでの冴えない自分を捨て、金髪パーマの不良として高校生活をスタートさせます。
ところが転校先には、三橋と同じ日にツッパリデビューした伊藤真司がいました。トンガリ頭に強烈な見た目の伊藤ですが、中身は曲がったことが嫌いな正義漢。一方の三橋は、勝つためなら不意打ちも騙し討ちもためらわない卑怯者です。
性格は正反対なのに、喧嘩となれば抜群のコンビネーションを発揮する三橋と伊藤。学校の不良から他校の強敵、危険な大人まで次々と相手にしながら、笑いあり喧嘩あり恋愛ありの騒がしい高校生活を送っていきます。
『今日から俺は!!』の魅力とは?
本作最大の魅力は、何といっても三橋貴志という主人公です。ヤンキー漫画の主人公といえば、仲間のためなら正面から強敵に立ち向かう熱血漢を想像しがちですが、三橋はまったく違います。
勝てるなら手段は選ばない。相手が油断しているなら容赦なく利用する。逃げたほうが得なら逃げる。とにかく「どんなことをしても最後に勝つ」ことを優先します。普通なら格好悪く見えそうな卑怯さが、三橋の場合はむしろ最大の個性になっています。
ただし、本当に大切な相手が危険にさらされたときには、とんでもない行動力を見せることもあります。普段はふざけてばかりだからこそ、三橋が本気になった瞬間が格好いい。その落差が何度読んでも気持ちいい作品です。
そんな三橋と対照的なのが伊藤真司です。伊藤は友情に厚く、卑怯なことを嫌い、どれだけ不利な状況でも正面から戦おうとします。三橋から見れば融通の利かない男ですが、伊藤がいることで三橋の自由すぎる性格もより際立ちます。
二人だけでなく、紅羽高校の今井勝俊や谷川安夫、開久高校の片桐智司と相良猛など、脇役にも強烈なキャラクターがそろっています。敵として登場した人物が後になって意外な関係を築くこともあり、巻数を重ねるほど登場人物への愛着が増していきます。
特に今井と三橋のやり取りは、本作を代表する笑いの一つです。真面目なのにどこか抜けている今井を、三橋が全力でからかう。そのくだらなさに笑っていたと思えば、次のエピソードでは本気の喧嘩が始まる。この振れ幅が『今日から俺は!!』ならではです。
恋愛要素も重要です。三橋と赤坂理子、伊藤と早川京子など、それぞれの関係が少しずつ進んでいきます。不良漫画でありながら、恋愛になると途端に不器用になるキャラクターたちの姿も楽しく、喧嘩だけが延々続く作品ではありません。
そして喧嘩シーンでは、笑い中心の日常とは別の顔を見せます。開久高校をはじめとする強敵との戦いでは、三橋と伊藤が本気で追い詰められることもあります。ギャグ漫画のテンポを保ちながら、いざ戦えば少年漫画らしく熱い。このバランスが非常に上手い作品です。
『今日から俺は!!』は1988年から1997年まで連載され、単行本全38巻で完結。累計発行部数は4000万部を超える西森博之の代表作です。1990年代にはOVAや実写作品が制作され、2018年には賀来賢人主演でテレビドラマ化、2020年には劇場版も公開されました。
ここからは、『今日から俺は!!』のように、クセの強い不良たちによる喧嘩、男同士の友情、くだらないギャグ、そして本気になると熱い青春を楽しめる漫画を中心に5作品紹介します。
おすすめの作品を詳しく紹介
1.『湘南純愛組!』
藤沢とおるによるヤンキー青春漫画です。湘南最強クラスの不良コンビ、鬼塚英吉と弾間龍二が、「モテたい」という何とも高校生らしい理由から童貞卒業を目指して騒動を巻き起こします。
普段はどうしようもなくくだらないことに全力を注いでいる二人ですが、仲間や大切な人間が危険にさらされれば本気で戦います。笑える日常とシリアスな喧嘩の切り替わりが大きな魅力です。
『今日から俺は!!』で、三橋と伊藤という男二人のコンビや、ギャグの直後に熱い喧嘩へ突入する展開が好きだった人には特におすすめです。笑えて格好いいヤンキー漫画を探しているなら非常に相性があります。
2.『クローズ』
髙橋ヒロシによる不良漫画の代表作の一つです。不良たちが集まる鈴蘭男子高校へ転校してきた坊屋春道を中心に、学校内外の強者たちとの喧嘩や友情が描かれます。
春道は圧倒的に喧嘩が強い一方、学校の頂点に立って支配したいという野心はほとんどありません。気ままに生きながらも、気に入った仲間のためなら強敵を相手に一歩も引かない人物です。
『今日から俺は!!』で、個性的な不良たちが次々と登場し、喧嘩をした相手とも妙な友情が生まれていくところが好きだった人におすすめです。こちらはギャグより喧嘩と男同士の友情が濃く、ヤンキー漫画そのものをもっと味わいたい人に向いています。
3.『ろくでなしBLUES』
森田まさのりによる青春不良漫画です。帝拳高校に通う前田太尊は、プロボクサーを目指しながら、学校や街で起こるさまざまな喧嘩へ巻き込まれていきます。
太尊を中心に、仲間との友情、恋愛、ボクシング、他校の強敵との戦いが描かれ、東京四天王との対決など本格的なバトルも大きな見どころです。
『今日から俺は!!』で、くだらない高校生活と本気の喧嘩、さらに恋愛まで全部楽しめるところが好きだった人にはぴったりです。普段の笑えるやり取りがあるからこそ、仲間のために戦う場面がさらに熱く感じられます。

4.『エンジェル伝説』
八木教広による学園コメディです。主人公・北野誠一郎は、心優しく真面目な少年。しかし生まれつき悪魔のように恐ろしい顔をしているため、本人の意思とは関係なく周囲から最凶の不良だと勘違いされてしまいます。
北野本人は争いを避けたいだけなのに、怖がる相手が勝手に攻撃してきたり、奇妙な誤解が積み重なったりすることで、学校中に「とんでもなく強い男」という評判が広がっていきます。
『今日から俺は!!』で一番好きなのが喧嘩そのものより、キャラクター同士の勘違いやくだらない会話から生まれるギャグなら特におすすめです。笑いながら読み進めているうちに、北野と仲間たちの友情にもどんどん愛着が湧いてきます。
5.『お茶にごす。』
西森博之による学園コメディで、『今日から俺は!!』と同じ作者の作品です。主人公・船橋雅矢は、周囲から恐れられるほど喧嘩が強い少年。しかし本人は暴力的な人生をやめ、「普通の優しい人間」になりたいと願っています。
高校入学をきっかけに茶道部へ入った船橋は、穏やかな部長や個性的な部員たちと出会い、自分なりに平和な生き方を学ぼうとします。それでもトラブルは向こうからやってきて、結局その圧倒的な喧嘩の強さを発揮することになります。
『今日から俺は!!』の西森博之らしい会話のテンポ、強い主人公、クセのある仲間、そして笑いの中に突然入ってくる人情が好きだった人には文句なしでおすすめです。三橋とはまったく違うタイプの主人公ですが、「本当に強い人間とは何か」というテーマにも西森作品らしさがあります。

まとめ
『今日から俺は!!』は、西森博之による青春不良コメディです。転校を機に金髪のツッパリとなった三橋貴志と、同じくツッパリデビューした伊藤真司。卑怯者と正義漢という正反対の二人が、さまざまな不良や強敵を相手に騒がしい高校生活を送ります。
不良コンビの笑いと熱い友情なら『湘南純愛組!』、不良同士の喧嘩をより濃く楽しむなら『クローズ』がおすすめです。青春・喧嘩・恋愛の全部入りなら『ろくでなしBLUES』、勘違いから生まれる学園コメディなら『エンジェル伝説』、西森博之らしい笑いをもっと味わいたいなら『お茶にごす。』も相性抜群です。
卑怯でわがままで、自分が楽しく生きることを何より優先する三橋。それでも本当に大切な場面では逃げず、伊藤たちと一緒にとんでもない相手へ立ち向かいます。『今日から俺は!!』の、笑っていたはずなのに気づけば熱くなっている独特の青春にハマった人なら、今回紹介した5作品にも忘れられない不良たちが待っています。

