『この音とまれ!』に似た漫画5選【好きな人におすすめの音楽・青春作品】

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『この音とまれ!』を読んでいると、箏の音そのものより先に、人の心が動く瞬間を覚えていることがあります。

不良だと思われている久遠愛。気弱ながら箏曲部を守ろうとする倉田武蔵。圧倒的な技術を持ちながら、人との距離をうまく取れない鳳月さとわ。最初から気の合う仲間が集まったわけではありません。むしろ互いに誤解し、傷つけ、信用できないところから始まります。

それなのに、一つの曲を合わせるためには相手の音を聴かなければならない。自分だけ上手くても成立しない。その音楽の仕組みが、そのまま人間関係の物語になっているところが『この音とまれ!』の強さです。

今回は「音楽系の部活漫画」という表面的な括りではなく、弱小部から仲間になる過程、伝統楽器を通して自分を表現すること、演奏に感情がにじむ瞬間、才能の差を越えて一つの音を作ること――この5つを軸に、次に読みたい漫画を選びました。

『この音とまれ!』の魅力とは?

時瀬高校箏曲部は、先輩たちの卒業によって部員が武蔵一人になり、廃部寸前の状態から始まります。そこへ愛、さとわ、愛の友人たちが入部し、さらに河合妃呂も加わっていく。人数だけ見れば部活らしくなっていきますが、問題はここからです。

愛は外見や過去から不良として決めつけられ、さとわは箏の名門で育った天才。武蔵は部長でありながら自信がない。それぞれが自分の弱さや居場所のなさを抱えています。そんな人間たちが「全国へ行く」という目標だけで、すぐまとまるわけがありません。

この作品がおもしろいのは、仲良くなったから演奏が良くなるだけではなく、演奏したから相手の気持ちが分かる場面があることです。言葉ではごまかせても、音には迷いや怒り、優しさが出る。だから合奏が人物同士の会話になります。

特に愛とさとわは象徴的です。箏との距離も育った環境も正反対。それでも、愛には亡くなった祖父との思い出があり、さとわにも箏から簡単には離れられない事情がある。二人にとって箏は単なる部活の道具ではなく、自分の過去と向き合う場所でもあります。

一方で武蔵、妃呂、通孝、実康、光太たちにも、それぞれ「自分はこの部に必要なのか」という葛藤があります。天才だけで全国へ行く話ではありません。経験の浅い部員も、自分にできることを積み重ねて、やがて一人欠けても成立しない音になっていく。この過程が部活漫画として非常に気持ちいい。

読んでいる途中には、演奏が噛み合った瞬間の高揚感がある一方で、家庭や過去、人間関係の傷が音へ持ち込まれる苦しさもあります。それでも最後に残るのは、「人は分かり合えないからこそ、分かろうとする」という感覚です。

『この音とまれ!』が好きな理由は、箏という珍しい題材だけではありません。音で感情が伝わること、バラバラな人間が一つの演奏を作ること、才能と努力の両方が必要なこと、弱小部が居場所になっていくこと。そのどこをもっと読みたいかで、次の作品は変わります。

おすすめの作品を詳しく紹介

1.『ましろのおと』

箏という伝統楽器そのものに惹かれたなら、最初に薦めたいのが『ましろのおと』です。

主人公の澤村雪は、津軽三味線の奏者だった祖父の死をきっかけに故郷の青森を離れ、東京へ出ます。卓越した技術を持ちながら、自分自身がどんな音を出したいのかを見つけられない。物語は、雪が他人と関わりながら自分の音を探す過程を追います。

『この音とまれ!』と近いのは、伝統楽器を古い文化として飾るのではなく、演奏する人間の感情そのものとして描くところです。同じ曲でも、誰が弾くかで意味が変わる。技術だけでは評価できない「その人の音」があります。

一方、時瀬高校箏曲部が合奏によって一つになる物語なのに対し、『ましろのおと』は雪個人の音を突き詰める側面が強め。さとわのように、高い技術を持っていても「何を伝えるために弾くのか」に迷う人物が好きだった人には特に合います。

全31巻完結。最後には、上手い下手より「この人にしか出せない音とは何か」という問いが残ります。

2.『ちはやふる』

廃部寸前に近い場所から仲間を集め、一つの目標へ向かっていく部活の熱さが好きなら『ちはやふる』です。

綾瀬千早は競技かるたの魅力に取りつかれ、高校でかるた部を作ろうとします。真島太一をはじめ、経験も性格も違う仲間を集め、団体戦と個人戦の両方で上を目指していきます。

箏と競技かるたでは競技性もまったく違います。それでも、一般的な運動部ほど身近ではない文化を本気で追いかける高校生たちという点ではかなり近い。最初は周囲に理解されにくい世界が、読み進めるほど「こんなに熱いものだったのか」と見え方を変えていきます。

さらに団体戦では、一人の強さだけでは勝てません。部員の得意不得意、精神状態、相手との相性まで含めてチームが成立します。これは、さとわ一人がどれだけ上手くても時瀬の合奏は完成しない『この音とまれ!』とよく重なります。

武蔵たちが少しずつ「箏曲部」という居場所を作るところが好きだった人向け。全50巻と長編ですが、そのぶん仲間が同じ時間を過ごした重みがしっかり残ります。

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3.『青のオーケストラ』

一人ひとり違う技量と事情を抱えた人間が、合奏によって同じ音楽へ向かうところをもっと読みたいなら『青のオーケストラ』です。

青野一は、かつてヴァイオリンで高い実力を持ちながら、ある事情から演奏をやめていました。しかし秋音律子との出会いをきっかけに再びヴァイオリンを手にし、高校のオーケストラ部へ入ります。

『この音とまれ!』との一番大きな接点は、「個人の問題が演奏へ出る」ことです。上手い人は上手い人なりの孤独があり、初心者には初心者の悔しさがある。互いの音を聴かなければ成立しないアンサンブルだからこそ、人間関係まで演奏へ影響します。

違うのは規模。箏曲部が少人数で互いの存在を強く感じながら音を作るのに対し、オーケストラは多くの奏者が一つの巨大な音を作ります。個人として目立つことと、全体のために溶け込むこと。その両立が物語になります。

時瀬の部員たちが「自分の音」と「みんなの音」の間で悩む場面が好きだった人には特に相性がいい作品です。

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4.『四月は君の嘘』

『この音とまれ!』で、言葉にできない感情が演奏になった瞬間が一番好きだったなら、『四月は君の嘘』があります。

有馬公生は、母の死をきっかけにピアノを弾けなくなった元天才少年。ヴァイオリニストの宮園かをりと出会い、止まっていた音楽の時間が再び動き始めます。

この作品では演奏が、ほとんど感情の告白として描かれます。怒り、憧れ、焦り、恋、過去への恐怖。それらを口で全部説明する代わりに、ステージ上の音が相手へ届く。

愛やさとわも、日常ではうまく言えないことを演奏によって伝える人物です。『四月は君の嘘』も同じように、「音楽なら言える」という瞬間が物語の中心にあります。

一方で、こちらは部活全体の成長より、公生とかをりを中心とした個人のドラマが濃い作品。全国大会へ向かうチームの熱さより、演奏者一人の心の奥まで入りたい人向けです。全11巻完結で、最後まで読むと、演奏とは誰かの中に何を残すものなのかを考えさせられます。

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5.『ふつうの軽音部』

時瀬高校箏曲部の「最初から華やかな青春ではない」ところが好きだったなら、『ふつうの軽音部』を選びたいです。

高校1年生の鳩野ちひろは、初心者ながらギターを買い、軽音部へ入ります。そこには特別に洗練された天才ばかりがいるわけではありません。バンドを組んでも人間関係は面倒で、温度差もあり、思っていた青春とは違う出来事が次々起きます。

『この音とまれ!』の序盤も、部員が集まった瞬間から美しい友情が始まるわけではありません。第一印象は悪いし、性格も噛み合わない。それでも一緒に練習するうちに、「この人と音を出したい」という気持ちが生まれていきます。

『ふつうの軽音部』は、その不格好さをさらに現代的で生々しい人間関係として描きます。演奏が完璧だから感動するというより、うまくいかなかった時間を知っているからステージが効いてくる。

愛や武蔵たちが「上手いから仲間になる」のではなく、同じ時間を過ごす中で仲間になったところが好きだった人に向いています。部活の面倒くささまで含めて青春だと思える作品です。

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まとめ

『この音とまれ!』に似た漫画を探すなら、「音楽漫画」で一括りにするより、自分がどの場面で一番心を動かされたかを考えると選びやすくなります。

伝統楽器と「自分だけの音」をもっと追いたいなら『ましろのおと』。弱小部から仲間を集め、文化系競技で上を目指す熱さなら『ちはやふる』。合奏の中で一人ひとりの感情が音へ変わるところなら『青のオーケストラ』。演奏そのものを感情の言葉として読むなら『四月は君の嘘』。不器用な高校生たちが音楽を通じて関係を作る生々しさなら『ふつうの軽音部』が向いています。

『この音とまれ!』で胸を打つのは、箏が上達したことだけではありません。最初は同じ部屋にいることすら不自然だった人たちが、やがて相手の音を聴き、自分の音を預けられるようになる。その変化です。

演奏が揃った瞬間に、人間関係まで少し揃う。逆に心が乱れれば音も崩れる。だから時瀬高校箏曲部の演奏には、それまでの物語全部が乗っています。その感覚が好きだったなら、今回の5作品にも、それぞれ違う形で「音が人をつなぐ瞬間」があります。

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