『望郷太郎』が好きな人におすすめの漫画5選【文明・サバイバル・冒険】

SF

『望郷太郎』は、『へうげもの』などで知られる山田芳裕による文明サバイバル漫画です。世界規模の大寒波によって文明が壊滅的な打撃を受ける中、主人公・舞鶴太郎は人工冬眠へ入ります。

そして次に目を覚ましたとき、そこは500年後の世界。かつて存在していた都市や国家、経済、交通網といった文明は失われ、太郎が知っていた世界はほとんど残っていませんでした。

家族も財産も失った太郎は、それでも生きる意味を求め、祖国・日本を目指して歩き始めます。中央アジアから東へ向かう長い旅の中で出会うのは、狩猟で暮らす人々、農耕を始めた村、奴隷制度を持つ社会、貨幣や政治を生み出した国家など、異なる段階の文明を築いた人々です。

500年後の未来を舞台にしながら、人類が歩んできた文明の歴史を逆方向から体験していく――。サバイバル、冒険、経済、政治、人類史まで一つにした壮大なグレートジャーニーです。

『望郷太郎』の魅力とは?

『望郷太郎』最大の魅力は、「文明がなくなったあと、人間は何をもう一度作るのか」を真正面から描いているところです。

太郎には500年前の文明を知っているという大きな強みがあります。農業、貨幣、燃料、政治、商売など、彼にとっては当たり前だった知識が、文明を失った世界では巨大な力になります。

しかし、知識があるから何でも簡単に解決できるわけではありません。例えば貨幣を導入すれば便利になる一方で、富を持つ者と持たない者が生まれます。農耕が発達すれば多くの人を養えるようになりますが、土地や収穫物を巡って権力や階級も生まれてきます。

文明とは人間を幸福にするものなのか。それとも新しい争いを生み出すものなのか。太郎が失われた文明の技術を復活させるたびに、その両方の側面が見えてきます。

旅の途中で出会うパルをはじめとする人々との関係も重要です。太郎は500年前の知識を持っていますが、新しい世界で生き抜く能力では現代の人々に及ばないこともあります。

野生動物への対処、狩猟、土地の風習、人間関係など、それぞれの時代にはそれぞれの知恵があります。「昔の文明を知っている人間のほうが偉い」という単純な物語ではなく、太郎自身も旅の仲間たちから多くを学んでいきます。

さらに面白いのが、旅を続けるほど社会の規模が大きくなっていくところです。小さな集落から農耕社会へ、さらに貨幣や権力を持つ国家へ。人が増えれば法律や政治が必要になり、そこには必ず支配する者とされる者が生まれます。

太郎はときに、500年前の知識を利用してその社会へ介入します。不換紙幣を「絵札」として再発明したり、失われた燃料を復活させたりと、「歴史の攻略法を知っている男」が未来の文明へ手を入れていく展開は、本作ならではの面白さです。

一方、旅の目的そのものはとても個人的です。太郎が求めているのは世界征服でも文明の再建でもなく、自分が生まれた日本へ帰ること。そして、失われた家族の痕跡を確かめることです。

世界史級の大きなテーマを扱いながら、その中心には「家へ帰りたい」という一人の人間の感情があります。だからこそ、どれだけ物語の規模が大きくなっても太郎の旅に共感しやすくなっています。

『へうげもの』で約500年前の日本文化を描いた山田芳裕が、本作では反対に500年後から文明そのものを見つめています。未来SFなのに、読んでいるうちに「貨幣はなぜ必要なのか」「国はどうやって生まれるのか」「人間らしい暮らしとは何なのか」と過去の人類史まで考えたくなる作品です。

ここからは、『望郷太郎』のように、文明が崩壊した世界で生き抜く人々、失われた社会を再び作る物語、未知の土地を進む大冒険、そして「人間はどう生きるのか」を楽しめる漫画を中心に5作品紹介します。

おすすめの作品を詳しく紹介

1.『7SEEDS』

田村由美による終末サバイバル漫画です。巨大な天体が地球へ衝突し、人類滅亡の危機が訪れることを予測した政府は、若者たちを冷凍保存して未来へ送り出す「7SEEDS計画」を実行します。

何も知らされないまま未来で目覚めた若者たちを待っていたのは、文明が消え、生態系まで変化した日本。食料も住居も社会もない状態から、生き残った人々が協力しながら生活を作っていきます。

『望郷太郎』で、長い眠りから目覚めた主人公が知っていた文明を失い、まったく違う世界を旅する設定が好きだった人には特におすすめです。生存だけでなく、人と人が集まったときにどんな社会を作るのかまで描かれています。

2.『Dr.STONE』

稲垣理一郎原作、Boichi作画による科学冒険漫画です。謎の現象によって全人類が石化してから約3700年後、科学好きの高校生・石神千空が目覚めます。

文明が完全に失われた「ストーンワールド」で、千空は火、薬、ガラス、電気、通信などを一つずつ復活させ、科学文明をゼロから作り直していきます。

『望郷太郎』で、現代人の知識が文明崩壊後の世界では圧倒的な武器になるところが好きだった人におすすめです。「すでに知っている技術を、材料も設備もない世界でどう再現するのか」という知的なワクワクをたっぷり味わえます。

3.『天国大魔境』

石黒正数によるSFサバイバル漫画です。文明が崩壊した日本を、マルとキルコという二人の若者が「天国」と呼ばれる場所を探して旅します。

荒廃した町には危険な怪物「ヒルコ」が存在し、生き残った人間たちもそれぞれ小さな共同体を作っています。一方、壁に囲まれた施設で暮らす子どもたちの物語も同時進行し、二つの世界がどうつながっているのかが大きな謎になります。

『望郷太郎』で、廃墟となった日本を目指す旅や、崩壊後の世界で人々が独自の暮らしを築いているところが好きだった人におすすめです。旅をするほど世界の過去が少しずつ見えてくる構成にも強い魅力があります。

『天国大魔境』が好きな人におすすめの漫画5選【終末世界・謎・サスペンス】
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4.『日本三國』

松木いっかによる近未来の日本を舞台にした政治・戦略漫画です。社会秩序を失った日本は分裂し、複数の国家がそれぞれ異なる政治体制を築く世界になっています。

主人公は、武力ではなく知略や言葉を武器に天下統一を目指します。国をまとめるためには軍事力だけでは足りず、政治制度、食料、経済、人材など、社会そのものを動かさなければなりません。

『望郷太郎』で、大国マリョウなど文明が発達した地域へ入ってからの政治や経済、階級社会を巡る展開が好きだった人におすすめです。「国とは何か」「社会を作るとはどういうことか」という部分をより政治寄りに楽しめます。

5.『サバイバル』

さいとう・たかをによる終末サバイバル漫画です。巨大地震によって日本が壊滅し、少年・サトルは文明から切り離された世界で一人生き残ることになります。

食料の確保、火の起こし方、住居づくり、病気、野生動物など、生き延びるための問題が次々と襲います。さらに旅を続けることで、生き残った人々がどのような暮らしや集団を作っているのかも見えてきます。

『望郷太郎』で、文明の便利さを失った人間が「まず今日を生きる」というところから生活を作り直す描写が好きだった人におすすめです。現代社会では意識することのない、水や火、食料の価値を改めて感じさせてくれます。

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まとめ

『望郷太郎』は、山田芳裕による文明サバイバル漫画です。大寒波による文明崩壊を人工冬眠で乗り越え、500年後の世界で目覚めた舞鶴太郎が、失われた家族の痕跡と生きる意味を求めて祖国・日本を目指します。

冷凍保存から未来へ目覚める終末サバイバルなら『7SEEDS』、失われた文明を科学で再建するなら『Dr.STONE』がおすすめです。荒廃した日本を旅する謎と冒険なら『天国大魔境』、国家や政治の再構築なら『日本三國』、文明なしで生き抜く原点を味わいたいなら『サバイバル』も相性抜群です。

貨幣も国も法律も、最初から世界に存在していたわけではありません。人間が必要に迫られ、一つずつ作ってきたものです。『望郷太郎』の、未来へ進んでいるはずなのに人類の歴史をもう一度最初から見ているような壮大な旅に惹かれた人なら、今回紹介した5作品にも「文明とは何か」を考えたくなる世界が待っています。

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