『モンキーピーク』は、志名坂高次原作、粂田晃宏作画によるサバイバルホラー漫画です。社員同士の親睦を深めるため登山へやってきた製薬会社の一行が、逃げ場のない山中で巨大な猿のような存在に襲われるところから、壮絶なサバイバルが始まります。
携帯電話は満足に使えず、食料や水にも限りがある山の中。そんな環境で突然仲間が殺され、一行は生きて山を下りるために行動を開始します。しかし、彼らを待っているのは殺人猿だけではありません。極限状態になるにつれて、それまで隠れていた社員同士の対立や秘密まで表面化していきます。
『モンキーピーク』の魅力とは?
最大の魅力は、「山から逃げる」というシンプルな目的が、とてつもなく困難に感じられるところです。登山道を進めば助かるという保証はなく、どこから殺人猿が現れるのかも分からない。深い山そのものが巨大な密室のように機能し、常に逃げ道を奪われている感覚があります。
さらに厄介なのが、敵の正体や目的が分からないことです。殺人猿はなぜ自分たちを襲うのか。偶然遭遇しただけなのか、それとも何か理由があるのか。読み進めるほど新しい疑問が生まれ、単なる怪物から逃げるパニックホラーでは終わらない謎が物語を引っ張っていきます。
そして『モンキーピーク』を面白くしているもう一つの要素が、社員たちの疑心暗鬼です。普段は同じ会社で働いている仲間でも、命が危険にさらされれば状況は変わります。水や食料をどう分けるのか、負傷者を助けるのか、誰の判断に従うのか。ひとつひとつの選択によって人間関係が揺れていきます。
「この中に何かを知っている人間がいるのではないか」という疑いまで生まれることで、外にいる殺人猿だけを警戒していればいい状況ではなくなっていきます。化け物の恐怖と、人間を信用できなくなる恐怖。この二つが同時に迫ってくるのが本作ならではの面白さです。
誰が生き残るのか予想しづらい展開もあり、一度読み始めるとなかなか止めどころがありません。絶体絶命の状況を切り抜けたと思った直後に、さらに大きな危機がやってくる。サバイバル漫画らしいスピード感を存分に楽しめる作品です。
ここからは、『モンキーピーク』のように、逃げ場のない環境で正体不明の脅威に襲われる恐怖や、極限状態で人間同士の信頼が崩れていくサバイバルを楽しめる漫画を中心に5作品紹介します。
おすすめの作品を詳しく紹介
1.『彼岸島』
松本光司による、吸血鬼が支配する島を舞台にしたサバイバルホラー漫画です。主人公・宮本明は、行方不明になっていた兄に関する手がかりをきっかけに、仲間たちと謎の島・彼岸島へ向かいます。
島には人間を襲う吸血鬼が存在し、一度足を踏み入れれば簡単には帰れません。敵から逃げるだけでなく、生き残るためには危険な場所へ自ら進まなければならない場面も多く、次々と異形の存在が登場します。
『モンキーピーク』で、人里離れた場所に閉じ込められ、いつ襲われるか分からない怪物から逃げ続ける緊張感が好きな人におすすめです。長編ならではのスケールでサバイバルホラーを楽しめます。
2.『インゴシマ』
田中克樹作画による、修学旅行中の高校生たちが遭難し、地図にも載っていない島へ流れ着くところから始まるサバイバル漫画です。助けを待つだけだったはずの生徒たちは、島に暮らす謎の人々によって危険な状況へ追い込まれていきます。
外部と連絡を取ることが難しい孤島という環境に加え、島について分からないことがあまりにも多いのが恐ろしいところです。誰を信用すればいいのか、島から脱出する方法はあるのかを探りながら生き残らなければなりません。
『モンキーピーク』の「文明から切り離された場所で何かに狙われる」というシチュエーションが好きな人と相性のいい作品です。閉鎖された環境そのものが恐怖へ変わっていく感覚を味わえます。
3.『漂流教室』
楳図かずおによる、学校ごと突然荒廃した世界へ飛ばされてしまった子どもたちを描くサバイバルホラーの名作です。食料も水もほとんどない環境で、子どもたちは元の世界へ帰る方法を探しながら生き延びようとします。
未知の生物や過酷な環境も恐ろしいのですが、それ以上に印象的なのが追い詰められた人間たちの変化です。恐怖や空腹によって集団の秩序が崩れ、味方だったはずの人間同士が争い始めます。
『モンキーピーク』で殺人猿だけではなく、極限状態に置かれた集団そのものが怖くなっていく展開が好きだった人に特におすすめです。「本当に恐ろしいのは怪物なのか、それとも人間なのか」と考えさせられる作品です。
4.『食糧人類-Starving Anonymous-』
蔵石ユウ原案、水谷健吾原作、イナベカズ作画によるパニックホラー漫画です。高校生の伊江は、ある日突然謎の施設へ連れ去られ、人間が「食糧」として扱われている異常な光景を目撃します。
施設の目的も、そこに存在する巨大な生物の正体も分からない。理解できない状況に放り込まれた主人公たちは、断片的な情報を集めながら脱出を目指します。グロテスクな恐怖だけでなく、少しずつ世界の秘密が明らかになっていく謎解き要素も魅力です。
『モンキーピーク』で「襲ってくる存在はいったい何なのか」「なぜこんなことが起きているのか」という謎が気になってページをめくり続けた人におすすめです。極限状態と謎解きが同時進行するタイプのサバイバルを楽しめます。
5.『7SEEDS』
田村由美による、人類滅亡級の災害に備えた「7SEEDS計画」によって未来へ送り込まれた若者たちを描くサバイバル漫画です。目を覚ました彼らが目にしたのは、自分たちが知っていた世界とはまったく異なる過酷な環境でした。
生き残るための知識や判断力が問われるだけでなく、性格も能力も違う人間たちが集団で行動しなければならない難しさが丁寧に描かれています。危険な生物や自然環境だけでなく、仲間との衝突や過去の出来事も大きく物語に関わります。
『モンキーピーク』で、限られた物資を使いながら集団で危険な場所を進んでいくサバイバルや、極限状態だからこそ見えてくる人間性が好きだった人におすすめです。より壮大なスケールで「生き残る」というテーマを味わえます。
まとめ
『モンキーピーク』は、登山へやってきた会社員たちが山中で謎の殺人猿に襲われ、生きて下山するために戦うサバイバルホラー漫画です。逃げ場の少ない山という環境、正体不明の敵、減っていく物資、そして社員同士に広がっていく疑心暗鬼が組み合わさり、最後まで緊張感の続く物語になっています。
怪物が潜む閉鎖空間からの脱出なら『彼岸島』や『インゴシマ』、極限状態で崩れていく集団心理なら『漂流教室』がおすすめです。正体不明の存在と世界の謎を追うなら『食糧人類-Starving Anonymous-』、本格的な集団サバイバルをじっくり楽しみたいなら『7SEEDS』も相性のいい作品です。
目の前にいる怪物から逃げれば助かるとは限らない。道を間違え、食料が尽き、仲間まで信用できなくなったとき、人間はどう行動するのか。『モンキーピーク』の追い詰められていく感覚や、次に何が起きるか分からない恐怖が好きな人なら、今回紹介した5作品もぜひ読んでみてください。

